8bit さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
物語に起伏がなくとも人間を描けばドラマになる
タイトルと設定から敬遠していました。
「そんな都合の良い世界があるか」と思う気持ちがあったから、
設定だけの作品が蔓延しているから。
しかし丁寧なキャラ作りと丁寧なお芝居のおかげもあり、そんな感情は吹っ飛びました。
亜人はあくまでも人間の亜種であり、人間の延長。
人間社会に溶け込めるよう努めている姿が描写されます。
登場人物は全て「良い子」であり、亜人特有の「悪さ」などの描写はありません。
故にこの物語が亜人である必要性は薄いかもしれません。
この物語における亜人はあくまでもエッセンスなのですね。
深く描写をするとエグイ内容になりますし、逆に浅い描写だと「ただの設定」になってしまいます。
この作品は後者なのですが、それを気にさせないほどの丁寧な描写が心地よかったです。
どのキャラクターも人間味があり、決して設定だけに逃げない記号として描かない。
感情は顔に出るし動作にも表れる。
そういった細かい描写の一つ一つが胸に突き刺さりました。
他人とはちょっと違う特徴を持っているだけの女の子達の青春物語。
そんな物語だからこそお芝居の丁寧さが際立ちます。
そしてこの物語を一番面白くしているのは主人公「先生」の存在。
女の子を描いただけでは「亜人達のただの日常」で終わってしまいますが
この先生の存在により一歩踏み込みながらも一歩引いた視点で物語を観ることが出来るのですね。
この引いた視点からの魅せ方が上手く落とし込んでいるなぁと感心しました。
間の取り方、音の使い方、キャラクターの描写などが媚びておらず、
一本のヒューマンドラマとしてレベルが高いと感じました。
面白かったです。