薄雪草 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
生きることは夢を見ながら
不思議な世界。
腐海の最深部。
まるで処女のよう。
ううん、子宮、かな。
だれも見たことがない。
だれも立ち入ってはならない。
だれ一人として信じてくれようとはしない。
禁足地という結界。
怖くて行けないよ。
恐ろしくて入れないよ。
悍ましくて見てられないよ。
秘された清浄の地。
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ナウシカ。
あなたは、なんて軽やかな足取りで腐海の生きものと戯れられるんだろう。
まるで、旧知の友との親交をあたためているよう。
大地の表層は、王蟲の群れによってあまねく均され、腐海の深層は、聖水をますます清らかにしている・・・。
くすんだかさぶたの下には、桃色の柔肌が育ちはじめているんだわ。
何もかもが、変わりゆくさなかにあるんだわ。
ナウシカは気づいていたの?
水が命を育む意味を。
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メーヴェよ。
どうか、メーヴェよ。
私の手となり、その娘を支えてやっておくれ。
私の足となり、その娘を導いてやっておくれ。
私の目となり耳となり、
その娘に見せてやっておくれ。
聞かせてやっておくれ。
見えないものが、よく見えるように。
見定められるように。
聴こえないものが、よく聴こえるように。
聴きとめられるように。
語れないことが、よく語れるように。
心に刻まれるように。
暗闇に心が迷うことがあれば、シリウスが先駆けとなって、道しるべの役を担うだろう。
黎明に誠を捧げるならば、太陽のごとく魁として、古き預言者の言葉の証を見せよう。
ナウシカは、蒼穹を翔けぬけ、みごとに使命を果たした。
風の谷の者よ、畑からメーヴェを見あげよ。
彼女を慕う子らは、青い空に親しみ、風を愛している。
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わたしは、ナウシカの瞳にながく魅入られている。
猛る王蟲にも心をひらき、巨神兵の咆哮にも涙を湛えた瞳。
腐海の蟲たちの、傷痕の怒りと呪わしさに色を失った瞳。
終焉と再生の、昇魂に澄みきった真砂を抱きよせた瞳。
この先、わたしの瞳はなにを見るのだろうか。
つい、ナウシカの瞳に答えを求めてしまうのは
こまった癖なんだけど、ね。