かがみ さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
この街に来て、よかったね
1期がもっぱらチノの成長に焦点を当てていたのに対して、2期はココアの成長にも焦点が当てられている。5話ではココアの姉であるモカが登場。ココアがもはや茶番にしか見えない圧倒的な姉オーラを振り撒くモカにふてくされるココアであったが、モカの去り際には成長した姿を見せてモカと和解する。
「もう私の真似事じゃなくて、本当のお姉ちゃんなんだ」というモカのモノローグが象徴するように、ココアが執着する「お姉ちゃんに任せなさい」という自己イメージは当初はモカからの借り物のイメージであったものの、チノという「妹」との交流を経て、ココアは少しずつ着実に借り物のイメージを自分の物にする事が出来ていた。
こうしたココアの成長を目の当たりにしたモカは「この街に来て、よかったね」と妹へ祝福の言葉を贈る。人の成熟とは想像的理想への同一化と象徴的他者への同一化を繰り返す過程である。本作はこうした成熟の構造をよく表した寓話となっている。
現実とメルヘンを往還する緻密な背景美術、計算し尽くされた色彩設計、世界観に寄り添った音楽、そして心の機微を丁寧に描いたシナリオと演出。放映から4年あまり経つ現在もなお日常系アニメの最高峰に君臨する名作である。