たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.1
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 2.5
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
冲方丁の失敗した「デビルマン」
冲方さんは「攻殻機動隊ARISE」以降、積極的にサイバーパンク作品を押しているようですが、「サイコパス3」も本作「HUMAN LOST 人間失格」も完全に失敗しているように思います。
というのも、初めてサイバーパンク作品に触れる人には良いですが、ある程度、映画だの漫画だの小説だの読んできた人間には非常に物足りないだけでなく、うんざりするような説教(環境問題とか少子高齢化とか)ばかりで、未来への展望が見えませんし目新しさが皆無です。
そもそもサイバーパンクとは、1930年代~50年代にアメリカやフランスで流行った「フィルムノワール(フランス語で暗い映画という意味)」を、70年代の公害問題、環境問題、人口問題を経て、80年代に「未来社会」として再定義し直した作品のことを指すのですが、要は元祖探偵ものアメコミの「バットマン」のゴッサムシティを未来に挿げ替えたような世界観なのです。
しかし、本作はサイバーパンクの体裁はあるもののそこに「デビルマン」という「黙示録もの」まで上乗せしているので話がぐちゃぐちゃで、均等ではありません。
あと太宰治の「人間失格」をモチーフにしていますが、名前だけで一体どのへんがあの名作「人間失格」なのかが聞きたいです。換骨奪胎しすぎて何が何やら整理がつかなくなっています。
これが最大の失敗だと言えるでしょう。もっと話の焦点を整えるべきだったと思います。