アンデルエレーラ さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
お前らは、その目で何を見てる?
千年紀の終わり、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の集団、ヴァイキング。
最強と謳われた戦士の息子トルフィンは、激動の時代を生きていく…
全24話。 終わってみると、本当に本当に素晴らしいの一言。
私にとって、2019年のTVアニメの中で1番の作品です。
{netabare}父を殺した海賊と共に生きることとなったトルフィン。{/netabare}
この特殊な環境でのトルフィンの旅路は、
魅力あるキャラクター達に支えられ、非常に見応えがあります。
{netabare}戦で手柄を挙げて、アシェラッドと決闘することが、
トルフィンの唯一の望みですが、{/netabare}
そのために、暴虐なヴァイキングの一員になっている、
という事実も隠さず描かれていて、物語にリアリティがありました。
序盤でいうと、6話はずっしりきましたね。
{netabare}戦う意思のない人々からも命と食料、財産を略奪するのが海賊。
この残虐な行為の一端を自分が担っているのだと、
トルフィンが自覚する様子がとても悲しそうでした。
ラストカットの、折れた“くし”の描写が…すべてを物語ってましたね。{/netabare}
中盤からは中世の政治や宗教もストーリーに絡み合い、
ますます世界観に引き込まれます。
特に衝撃を受けたのは14話。
もう何と言葉にしたらよいのか分からないですよ(笑)
{netabare}神様なんていないのか。 それとも神様が1人だけ生き残るという罰を与えたのか。
「だって私、ドキドキしたんだもの」
月明かりに照らされながら少女が言った台詞には、鳥肌が立ちました。{/netabare}
救いのない無慈悲な光景でさえ、どこか美しいと感じでしまう不思議な作品です。
終盤に入ると実際、{netabare}アシェラッド{/netabare}が第2の主人公と言っても良いでしょう。
4話の時点では、{netabare}憎むべき卑怯者{/netabare}と思ってましたが、、
22話になる頃には、その印象は一転していました。
{netabare}平和を求め、野蛮さを嫌った結果が彼の生き方なのですね。
クヌート王子に母が待ち焦がれたアルトリウス公を重ねる姿には、
彼こそ正義なのでは!?と思ってしまうほど。
一方、怒りに身を任せるトルフィンの生き方は、
気づけば父トールズが辿り着いた「本当の戦士」とは真逆のものとなっていました。
22話は相当きつかったです。 もうトルフィンどん底じゃんって(笑){/netabare}
そして迎えた最終話。
{netabare}そんな気はしてましたが…
アシェラッドはすべてをクヌートに託したのですね。 最高にかっこいいですよ。
「お前、どう生きるつもりだ?」
生きる目的を失ったトルフィンのことを、気に掛けるアシェラッド。
2人の最後の会話には、胸が熱くなります。
ラストシーンの演出もお見事。
手からこぼれ落ちた短剣に、今までの回想シーンが映る。
「本当の戦士に剣などいらぬ」その第一歩となったのでしょうか…{/netabare}
EDの2曲も好きでした。
原作はまだまだ先があるようですね。
2期・3期と続きを観たい作品。 期待して待っています!