「バビロン(TVアニメ動画)」

総合得点
69.3
感想・評価
369
棚に入れた
1129
ランキング
1850
★★★★☆ 3.3 (369)
物語
3.1
作画
3.4
声優
3.6
音楽
3.3
キャラ
3.3

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ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:今観てる

バビロン レビュー

今期レビュー2作品目。

まあそんな私的な知らんがな的な事をレビューに書くのが最近のお気に入りなのですが、何故2作品目に選んだか。

話題性があると感じました。それは7話でもあるし、2話でもある。
7話が物語上の「衝撃の展開」であるならば、2話は、「衝撃の演出」だったと感じています。でも、放課後さいころ倶楽部よりは、面白みのあるストレスがない。行動の違和感がない。主人公の行動の理由がはっきりとしすぎている。登場人物の弱さが通常時に感じられないのが、人物を理解する面白さに一味の足りなさを感じるから、2番目、という事だと思います。

現状の第一印象はそんな感じです。

内容について入っていきましょう。1話ごとの私の感想を書いてみます。

1話。主人公、正崎善は検察官であり、多少強引な手を使ってでも捜査や任意同行に踏み切る。自身が絶対的な正義の側にある事は疑っていない様子。

2話。正崎は曲世を検察庁に呼んで事情聴取(任意同行?)。この事情聴取の場の演出が凄い。曲世の話す正崎の聞きたいこととは全く違う話、視点が正崎を見ているようで、虚空を見ている事や、曲世の性的な手つきなどから感じる不気味さ。
座っている曲世に対し、正崎は敢えて立って、見下ろすような状態で質問。
最初は強引な聴取や高圧的な質問を行う正崎に対して、多少の嫌悪感を持っていたのが、曲世の不気味さにすり替わっていく。
聴取の場の空気感、パワーバランスそういった目には見えない物を感じさせる回。

3話。衝撃的な飛び降り自殺。それを見た正崎が、今まで同僚が死んだ理由に対して、殺人の線で追っていたことが見当違いだったことに気付く。ここで自殺(自殺法)という行為に大きく物語が振れる転換点となる。

4話。新登場の女性事務次官。自殺法を巡り、斎開化を現状の法律で逮捕できるかという視点が盛り込まれる。この視点で最後まで行く検察官物なのかと思い興味津々だったが・・・

5話。曲世という人物を調査する回。曲世という人物がどうやって人に自殺をそそのかすのか、という方法を考える過程だった。しかし、実際には、彼女の生来に、何か特別な出来事があったから、そういった現実的な自殺を教唆できる手法を編み出したというよりも、生まれつきにして、男性をそそのかすことのできる力を持っているという印象に変わっていく。
つまり、現実的な自殺教唆の方法から、生まれつきの特殊能力、非現実的な力の話にシフトした、重要なポイント。
4話で現実的な検察官の話になると思っていた人には少し残念な展開かもしれない。

6話。5話の流れを受けて、正崎は犯罪スレスレの作戦を立案。彼の正義は順法意識ではなく、自身の信じる倫理道徳感にあることがわかる。
ここでフォーカスされるのは、正崎の正義と善。曲世の悪意には嫌悪感を覚えるが、正崎の正義にも違和感がある。この行き過ぎた正義感が、視聴者を、どちらの側にも立たせない、善悪の戦いを見る人という第三者的意識を芽生えさせる。

7話。最悪の展開と、はっきりと曲世によって視聴者にバラされる善と悪の意識。
ここで面白いのは、生来生まれつきに持った特殊能力、男性を惑わせる力を、何故悪の方向に使おうと思ったか。
彼女がなぜ悪の道に入ったかという過程が今後面白くなってくる。もちろん、それも生まれつき、なのだろうか?
いずれにしても、瀬黒事務次官を平気で斧で殺害できる精神面については、その形成過程を明らかにしてくれないと、正崎に肩入れすればいいだけの正義のための作品になると思う。
そして、3話の飛び降り、7話の集団自殺を引き起こした曲世と共闘している(もしくは夫婦関係)斎は、彼女の力をどう理解しているのか。
何故正崎の作戦は失敗したのか(気付かれていなければ成功したのか、それとも最初から曲世はSPを殺す気だったのか)
そして印象的なのは、曲世の自殺への誘い方。あれはちょっとやりすぎた表現だと思う。
しかし、3話の飛び降りを見ると、女性も混じっている。つまり曲世の力は女性にも効くが、瀬黒 陽麻事務次官に対しては、効いたか効かなかったか。
斎が悪かどうかについて、それは自殺法が悪かどうかにもつながっていくるが、曲世と共闘し、法に触れないように人を殺す、もしくは殺させている時点で、すでに悪であると感じた。

野丸との討論の場によって、自殺法を真剣に議論しているように作っておきながら、集団自殺状態を作り出したのだから、これまた軸のそらしがある。物語の重点は、自殺法云々があるべきかないべきかではなく、正崎の正義が勝つか、曲世の悪が勝つか。善悪の戦いに物語の軸が置かれている事が、7話ではっきりしたと思う。

そんな感じですかね。話数ごとに、この作品をどう見るか?何の作品として見るか?という視点がどんどん変わっていく、勘違いさせられていたというのが、面白い点だと思います。非常に危険な悪が描写されますが、その悪を悪と認識する自身の正義の視点が、エゴじゃないかと、注意しながら振り返ることのできる時間をこのレビューを書くことで感じさせてもらえました。

でも、「正解するカド」の野崎まどさんなんだよなあ…。どんな結末になるでしょうか。

投稿 : 2019/11/25
閲覧 : 486
サンキュー:

24

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