STONE さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
旅先で見るもの
原作は未読。
基本的には一話完結のそれも予想外のオチが付くような展開が多いが、純文学からSFのような
ジャンル小説まで短編小説はこういう体裁を取ったものが多く、そういう意味では王道的な作りの
印象。
このオチについては寓話的なものが多く、淡いトーンで絵本を思わせるような作画が非常に内容に
合っているように思えた。
設定などはあまり凝ったものではないフワッとしたものといった印象。
ただ、寓話的ストーリーのための舞台設定と考えるとあまり詰めに詰めたリアリティのある
設定より、むしろこちらの方が雰囲気があるなと思ったり。
基本的展開は旅をするキノが様々な国を旅するロードムービー的作品。
ロードムービーと言うと旅先での出会いが主軸となることが多く、作品によっては旅人が旅先で
出会った人にかなり踏み込むものもあるが(「水戸黄門」のような世直しものはその典型だと
思うが)、キノは関わらざるを得ない場合以外は一歩引いた傍観者でいることが多い。
旅人はあくまで部外者であるというスタンスを貫いているようであり、3日しか滞在しないという
ルールは踏み込まないための自身に科した線引きなのかなと思える。メタ的には視聴者(読者)と
視点を重ねやすい位置に置いているようにも思えるが。
これは行動だけでなく心情的にもそんな印象で、訪れる国々がキノに取って良かろうと悪かろうと
どこか醒めた視点で見ているよう。それゆえにろくでもないような国に対しても、その時の感情は
ともかく、後々まで引くような悪意は持っていないようにも思える。
旅でのキノとモトラドのエルメスとの会話だが、他愛ない内容の中に真理を付いた深いものが
あるように思えたり、深いものがあるようで実は本当に世間話レベルのものかもしれなかったりと
いったどちらとも取れるような雰囲気が結構良かったりする。
2019/11/24