ゴンベ さんの感想・評価
2.0
物語 : 1.0
作画 : 1.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 1.0
状態:観終わった
全てが浅すぎる
3・4話くらいまでは自殺に関する善悪や正義をあつかった、哲学要素のあるシリアスで社会派やサスペンスに近いもので結構面白かったけど、それ以降が…
作劇上のインパクトや演出はすごいけど、肝心の内容が矛盾や粗が多過ぎるし、色々と浅すぎる。
やっぱ『正解するカド』の作者なんだなぁ…って。
・60人超の集団自殺のキーマンは明らかに齋より曲世なのに、齋を拉致して隔離すれば自殺法推進派は瓦解するとか言い出して頭の悪くなる主人公達(しかも法の番人たる検事であり、作中で『善』を体現する主人公が公人の拉致という犯罪に走っている)。
・穴だらけの齋の主張に、特に論破されてもないのに何故か論破された風な政治家達というガバガバ討論会。
・組んでた齋の家庭状態や、これから擁立する少年候補の素性も何故か全く知らない与党幹事長の野丸議員(と言うかあんな子どもが擁立される・立候補出来るのがそもそもどうなんだ、っていう…)。
・数十人の刑事達が、いくら遺書の筆跡が一致したとは言え、仕事の現場で勤務中に集団で、しかも拳銃で自殺したのを本当にそのまま自殺で処理する警察。
・これまで得体の知れない異能で人を死に導き、その立証の困難さゆえに立件できず不気味で厄介な存在だったのに、唐突に特に意味もなく猟奇殺人におよんで普通に犯罪者になる曲世。
・理屈もへったくれも掘り下げもなく、姿を見ただけ声を聞いただけで相手を魅了し操る、異世界転生ものかよってくらい理不尽な曲世の能力。
その他諸々粗や矛盾が激増し一気に色々ブン投げてしまった…
カドでそれまで重要視してきた『交渉』をブン投げて、最終話で唐突に出て来た新キャラに力業で解決させたのから進歩してないと思う。
導入はとても面白いのに、ストーリーのためにキャラが急にバカな行動にでたり、話を展開させて畳むなどの過程が描けてなさそう。
8話は12/30に延期(作画まあまあ酷かったから多分万策尽きた)みたいだけど、多分話畳めないよ。
原作も完結してないみたいだし。
HDD整理してたら録画されてたから残りを一応観たけど、やっぱり何も畳めなかったね。
何かキャラが色々考え事をしている描写はあったが、何一つ考えが深まることなくただただ話が進んでいった。
サミットの実務者協議で、各国首脳があっっっさい哲学論語り合うとかコントとしても出来が悪い。
最後に出た「善悪についての正崎の回答」についても、深く考えなくても秒で矛盾が出てくる浅過ぎる結論。
結局序盤に提示されたテーマである自殺と善悪に関しても、尊厳死や他に必要なはずの諸々の要素が抜け落ちたまま何一つ話が深まることがなかったし、本当に全てが浅いまま終わってしまった。
小難しいことテーマにしてるように見せて色々語らせてるけど、結局は曲世という超次元キャラによって、ひたすら世界が蹂躙されるだけのアニメ。
最終的な感想を言うと、あの伝説の魔法戦争と同じレベルの、非常に酷いアニメだった。
あ、雪野五月さんの怪演は素晴らしかったです。