かたらぎ さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ただの吸血鬼物ではない。
物語の核心にあたるネタバレは含んでいませんが、大まかなストーリーが分かってしまいますのでネタバレになりえるかもしれません。ご注意下さい。
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まず、これは吸血鬼(屍鬼)が村の人間を襲い、村一つを屍鬼の村にしてしまおうとするお話です。
勿論、屍鬼の存在に気付いた人々は抵抗をします。
この話の最大の魅力は屍鬼側にも人を殺さねばならない口実があるという部分です。
例えば良くある吸血鬼物だと、人々が襲われ、それに対抗する人々を主に主軸に置き、その中で友人や家族が吸血鬼になってしまったりなどの良くある展開を挟むなどが容易に考えられますが、本作は全く違います。
屍鬼達にとって食事をする(人を殺す)事は完全な悪では無いという点が出てきます。人間が動物を殺して食べるのと同一という説明が出てきます。
また屍鬼達は安穏に生活できる場所が無いというのも出てきます。(よって村を屍鬼の村にしようと画策します)
しかし、人間にとって人間に害を成す物は悪です。
それが大義名分となり屍鬼を皆殺しへと駆り立てます。
その描き方がグロテスクで、屍鬼達は体こそ吸血鬼のようになった物の意識や感情は人間のままなわけです。
屍鬼となっても村の人間なのでほとんどが知り合いです。
屍鬼も死にたくありません。
「見逃してくれ、友達だったじゃないか!」
「死にたくない、まだ死にたくない!」
と悲痛な叫びを出して、リンチの如く、鎌や鍬などで切り刻まれ殺されます。
序盤は非常に屍鬼達が恐怖の対象のように描かれますが終盤の村人の猛反撃、いやもはや暴徒と成り果てた姿はそれ以上の狂気を見せます。
最終回を見た後に、一体誰が悪かったのかが分からなくなり、もやもやっと後味が悪い感じで終ります。
それがこのアニメの魅力の一つと言えると思います。
あと数少ない悪い所と言えば、終盤、ストーリーが走りすぎるという点があります。
一気に進むので、多くのキャラが一斉に動いてしまいます。注意して見て置かないと何がどうなったのか分からなくなります。
逆に言うと、それだけを描ける余裕が放送枠に無かったのであればキャラ削減をしとくべきだったのではと思えたりもします。
しかし全体的に非常に質の高いアニメです。さすがノイタミナと言った感じです。
終盤の声優さん達の演技も素晴らしいです。
あと個人的に1クール目のOPがお気に入りです。