ユージン さんの感想・評価
4.9
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
オタクは気持ち悪い
メタ的な視点から。
今でこそ、タレントやアイドル等もアニメやマンガ好きを公言するなど、オタクは一定の市民権を得ているが、以前はそうではなかった。
学校でアニメを観ていると言えばクラスメイトは冷やかし、女子は揃って冷たい視線や苦笑いを向ける。世間一般オタクのイメージは気持ち悪い犯罪者予備軍扱いであり、当時のオタクに対する風当たりは、それはそれは強かったと記憶している。
それがエヴァの登場によって徐々に、確かに、変わっていくのを感じた。
子どもから大人まで、今で言うところのリア充やヤンキー、ギャル等、それまでアニメに全く関心のなさそうな人達までがエヴァの話題をし始めた。
エヴァの難解で複雑なストーリーは観る人によって解釈が分かれ、社会的考察ムーブメントとなり、
エヴァ以前は蔑まれていたオタクが徐々に一定の市民権を得るに従い、いつしか
「難解なエヴァを考察できる俺すげー」
「僕はここにいても良いんだ」
と作中のキャラに自己を投影し、承認欲求に飢えていたオタクの増長を招いた。
ただの娯楽作品に過ぎなかったエヴァに過剰に依存したオタクはTVシリーズの伏線回収を放棄したとしか思えない結末に激怒、阿鼻叫喚し、制作陣を攻撃、オタクの期待に応える形で本作劇場版が制作されることとなったようである。
(本作の実写映像の中には当時のファンが送ったと思われるファンレターや、ネット上での批評や誹謗中傷、ガイナックス店舗への落書き、監督への殺害予告等の映像がみられる)
「だからみんな、死んでしまえばいいのに…」
これは本作のキャッチコピーだ。
オタクの喜びそうな要素を散りばめ、いい気になったオタクに「気持ちいいの?」と実写映像を通して現実を意識させ、二次元の美少女を通して「気持ち悪い」と突き放す。
この作品のタイトルが「まごごろを、君に」なのだから最高にウィットに富んだタイトルと言える。