たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「村上春樹」と天使たち
ライトノベルの文脈はよく、「村上春樹」の登場から変わったとされ、特にこの頃2000年代前後の作品の「空気感」が非常に「春樹」的であると評される。
つまりは、「近代」的な社会のつながりと構築主義から、「現代」的なポストモダンと実存主義に変わることを指す。
例を挙げると「男性優位社会」的な熱血の否定による「日常」の肯定。更には、個人的な人間関係が世界や社会の問題と連結される「セカイ系」の始まりだとか。。枚挙に厭わないが、
特に本作においてのファンタジーなのか現実世界の暗喩なのか曖昧な世界感、退廃的で日常のみを享受するしかない空気感。やたらと羽の生えた少女の内面を深堀するあたりが「春樹」的であり、「ミスターチルドレン」や「スピッツ」的な音楽感とも似ている。(どちらも村上春樹チルドレン)
表層は退廃した人間社会と絶望感に打ちひしがれながら、実はそれでも「世界」を享受し、肯定する姿勢は、90年代以降の不景気で立ち行かない日本社会いらしい文脈とも言える、正に日本的な感覚そのものである。