みかみ(みみかき) さんの感想・評価
3.4
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
なるほど。
けっこう面白かった。
観終わってみれば、物語の中身自体には特に意味はない。ああ、あんまりおもしろくない決着だったな、と思った人は多いだろう。
だが、本作の面白さは、そのような「あんまりおもしろくない決着」であるにも関わらず、その決着の無内容さにもかかわらず、本作が終盤にいたるまで思わず引きこまれて、作品を魅せられてしまうということだ。
その無意味さこそが、逆にミステリーというジャンルの醍醐味なのだということをよく味あわせてくれる。
その構造は実に単純だ。
1.読者にベタな予測をさせる。
2.ベタな予測を1話~3話ぐらい後に裏切っていく
3.そして間隙をいれずに新たななぞが発生
という基本構成の繰り返し構造が、とても、よくできてる。
つまり、
1.犯人は見崎?! →2.違う…っ! → 3.こ、これは…っ!
1.犯人は主人公?! →2.違う…っ! → 3.こ、これは…っ!
1.犯人は千曳先生?! →2.違う…っ! → 3.こ、これは…っ!
といった形の、予想・裏切り・新展開、がうまく数珠繋がりにされている。(完全に直線的なシナリオではなく、複数の予想が同時並行で進行するようにもなっている)
観終わってみれば、むしろ、そのためだけに構築されているかのような物語構成で、ああ、ミステリーというのはこういう作り方をするものなのか、ということをしみじみと勉強させてくれるいい機会になった。
一方で、本作は「本格推理」という点に関してはまったくだめというか、マジで適当なつくりである。オカルト・ミステリーだしね。結局、論理的な推論どうこうみたいな話は、まあ、どうでもいいんだよね。たぶん、誰も本気で推論はしないわけで、だいたい98%ぐらいの読者は「ながら」でしかものを考えていないと思われ、ガチ推理をする人はほとんどいない。
*(自分メモ)
わたしの個人的な好みでいうと、他メディアとの比較(特にゲーム)のことを考えてしまうのだけれども、結局、物語の内容は無意味で「ひっぱる」方法だけが発展していく、というのは物語メディアでも、ソーシャルメディアでも、ゲームメディアでも同じだなぁ、という気がする。
ただ、「ひっぱり」の技法の中身の性質がいささか異なっているだけで、予期と裏切り。予期と強化。といった強化学習サイクルに近いメカニズムを使うということ自体は実は一緒で、それを紙メディア(物語)でやるか、人を介さないインタラクションメディア(ゲーム)でやるか、人を介したインタラクションメディア(ソーシャル)でやるか、ということの違いなのかな、みたいな気がした。