tomledoru さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
地味だけれど宮崎五朗氏の挽回作品
ゲド戦記で,デビューしたものの,
今一つパッとしなかったの宮崎五朗氏作品第二段。
今度は,地に足がついたノスタルジックな作品で
全体的な印象はよかったと思います。
お話の一つのテーマは,学生運動。
当時の高校生って大人に見えますよね。
カルチェラタンの取り壊しに,大人に堂々と異議
を申し立てるところなど,今の学生名はないパワーを
感じました。
(復興)発展途上の世の中だったことや,学生自身が
自覚と確固な目標をもって生きていた時代の象徴だと思います。
もう一つのお話のテーマは,メルの風間への想い。
メルは,父親を朝鮮戦争のとばっちりで亡くし,
母も単身アメリカへ行ってしまっているという娘。
メルの目線で見ると,自分が学生寮の世話をしなければ
女学生たちが勉学に励めないと思い一生懸命働きます。
両親がいないから兄弟の面倒を,とメルはお母さんに
頼まれていたことでしょう。
若いにもかかわらず,わがままを言わず,
歳を取ったおばあちゃんのためや
家族のため,寮生のためにも,
みんなのためにも,なろうとするメル。
昭和の半ばの時代,親を助けて働いたり
手伝ったりしていた子は多かったはずです。
メルが旗を揚げるのは,亡くなった父への郷愁と
船の安全を願うためでしょうか。
さて,どこかの韓国ドラマのように,メルと風間
の兄妹疑惑が持ち上がりますが,それも,解決して
良かったとつくづく思いました。
メルのお父さんが,助けた友人の赤ん坊が風間君だったのです。
さて,ほかの女子生徒も,カルチェラタンの掃除に協力して
メルが大好きな風間君の希望が叶い,
カルチェラタンの取り壊しが中止されます。
学生の行動が実を結びます。
およそ55年前の話ですが,若物たちがたくさんいて
(ベビーブーム世代?)長いもの(既成権力)には
巻かれたくないという気概を感じる作品でした。
今の若者も,すぐにあきらめたり,不貞腐れたりせず
希望を持って生きて欲しいというメッセージも
含まれていたように思いました。