ぱいーぬ さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
失敗作か、時代の先駆けか
この作品は当時においては人気のようだったが、今ではあまり知られていない。シュールレアリスティックな音楽、演出は2012年現在でもなお斬新さを感じさせるものであるが、それを単なるエキセントリシティーとして見る者の正当性は否定できない。なぜなら、15年ほどたった今、このアニメは一部のコアなファンにしか知られるものではなく、しかも今後再評価される見込みが見えてこないからである。
ここまでが普通の感想。
以下攻めの感想。
この作品は無意識に働きかけてこようとする。
この作品は、宗教臭さ、の様なものを終始漂わせ、途中からは--厳密にはウテナが学園長(理事長だったか)の所に寝泊まりするようになってから--それが強まって行ったように思われる。
自分の家の匂いに対して鈍感になってしまうように、私たちは後半の宗教臭さを意識することはあまりなかったのでは無いだろうか。無意識下で蠢く激しい嫌悪、ストレスが、物語ラストでのアンシーの旅立ちによって浄化(カタルシス)される。
実際、私たちは物語を最後まで見てもよくわからない。説明がきちんとなされないままに物語は終わる。しかも、ストーリーの合間には物語の全貌を解き明かすヒントらしきものが散りばめられているというのだから、それらを頼りにラストを推理していたであろう視聴者に対する無礼だと言うことも出来るかもしれない。
しかし、意識がこじれている間に、無意識においてはカタルシスを迎える。
何もわかっていないのに、どこかからやってくる達成感と開放感。それらがどこからやってくるのかすらわからない。
意識と無意識の分離によって、「私」に対するアンチテーゼを、「少女革命ウテナ」は突き付けたのではないだろうか。