「CLANNAD AFTER STORY-クラナド アフターストーリー(TVアニメ動画)」

総合得点
92.4
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ネタバレ

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

家族の想い

半年以上の時間をかけて、クラナド、クラナド アフターストーリーの視聴を完了した。

先に、“中二病でも恋がしたい”を観ていたことや、“ことみちゃん”の両親の話を含めて、平行世界を絡めてのドラマであろうと言う予想はあった。
取り留めもなく連続するミニストーリーの数々、シュミラクラの如き記号化されたキャラクターと名前を一致させるのに苦労させられたこと、繰り出されるプロレス技等々、違和感が無かった訳ではない。
それでも独特の雰囲気に魅せられ、そうこうするうちに、“クラナド”は終わってしまったのである。

そして、“アフターストーリー”である。
前半は、同じく、淡々と話が進んでゆく。
不穏な影をはらみながら・・・。
そう、渚ちゃんはフラグを立てまくるのである。
一気に落ち着いて観ることができなくなり、半年の時間をかけて感情移入してきた者にとっては、辛い気持ちが募るばかりとなった。
私の頭の中では、張られた伏線を、何とか自分なりに回収し、救いを求める作業が続くことになる。
ここでの現実は容赦なしだ。渚ちゃん、汐ちゃんにそして家族に辛い宿命を科すことになる。
しかし、このような心がかきむしられる状態での最終回、心暖まるラストを持って来てくれたことに感謝を述べたい。

伏線は綺麗に回収され、そこに一部の安直さも感じることはなく、見事な救済の物語の完成だ。

ここで、若干の考察を加えたい。

CLANNAD はアイルランドを代表するフォークロックバンドだ。
ウィキによると、彼らが海岸の街“グウィドー”、ゲール語でGaoth Dobhair(入江)出身であることからClann(家族)と合わせて、Clann as Dobhair (入江から来た家族)を縮めて名付けられたそうだ。
なんと、このアニメのタイトルにぴったりではないか!
入江に生まれた “渚” は、寄せては返す波 “汐” の働きかけによって救われるのである。
その波は、“ことみちゃん”の話に従えば、余剰次元を通じて伝わる平行世界の願いである。
最後は、あらためて、街の願いが天に登って行くのだ。
そこには相互に響き合う、慈愛に満ちた世界が確かにある。

(補記)
蛇足になることを恐れずもう一点付け加えたい。

風子ちゃんと朋也くんの共通点である。

風子ちゃんは事故で植物状態であった。姉に対する想いの強さは余剰次元を通して現れるのである。これは、“クラナド”でのお話だ。
確かに姉は、そこに風子の存在を確信するのだ。
結婚式を共に祝うことで昇華された風子の“想い”は、“アフターストーリー”での自身の覚醒につながるのである。

一方の朋也は、滅びようとしている世界で、自身はブリキのロボットとして娘の汐を救おうと願っているのだ。
ここで一捻りが入ることとなる。
世界の消失と共に消える(ロボットに仮託された)父親に対する感謝は、もちろん自分を生んでくれた母親である渚に対する想いと同じだ。これこそが朋也と渚のアフターストーリーでの出会い、桜の坂での再会につながることになる。

風子には“クラナド”での記憶はない。残っているのは嗅覚かな?
再び動き出した時間の中で、朋也、渚、汐にもその記憶はないはずだ。

そう、アフターストーリーは大団円を迎えるのだ。

投稿 : 2019/10/28
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サンキュー:

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