退会済のユーザー さんの感想・評価
3.8
物語 : 5.0
作画 : 1.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
【制作者に対する酷評長文です】超スーパー リミテッド・アニメーション
原作未読なんですが、きっと相当面白い小説です。
設定やトリック ギミックがどうのというよりは、台詞回しやキャラクターの魅力や展開のさせ方とかがとても洒落ていて、お話としてはとても好きでした。
村田蓮爾さんのキャラクターデザインもすごく好みで、そういうわけで、私はこのアニメを最終話までしっかり見通しました(*^^*)。
ですが、
なのに、
だからこそ…!
アニメーションの作り方として、これ一体どうなんでしょ??
普段はアニメ製作者の皆さんへの敬意と感謝の気持から できるだけネガティブなレビューは書かないし書きたくもないのですが、今回は、私、怒ってます。
なのでこのレビューは思いっきりネガティブで、しかもきっと長文になります。
この先読まなくてもいいです。ごめんなさい。。
いわゆる「作画崩壊」といわれるようなデッサンが狂ってたりすることもありましたが、それはそれほどでもなかったかも知れません。
でも、そりゃそうですよ。
そもそも描かれた”絵の枚数”が極端にも少ない!
アニメの制作側にいたことはないのでよくはわかりませんが…
1秒に24コマ映し出されるTVの画面に、それにぴったり合わせて1秒24枚分の絵を、それも1画面まるまるとか物や人物や顔全部の、ほとんど変化しないようなところまで24枚描く…という「フル・アニメーション」に対して、2コマに1枚とか3コマに一枚 つまり1秒に12枚とか8枚とかしか絵を描かず、かつその絵の中でもキャラクターが話す場面なら顔の中の口の部分のように大きく変化する部分だけを抜き描きして重ねる…というのが「リミテッド・アニメーション」で、日本のTVアニメは鉄腕アトム以来この「リミテッド・アニメーション」が主流で、制作時間と予算を減らしてビジネスとして成り立たせてる…ってことは、このあにこれでは今更わたしなんぞが説明するまでもないかと思います。
が、このミルパンセが制作した「コップクラフト」は、『そんなんじゃ手ぬるい!』とばかりに、更にもっと、究極まで、いや究極以上に「描画枚数を減らす」ということに情熱wをかけまくっているようです。
まず単純に絵の枚数を減らしている。
動きの激しいアクションシーンや、力を入れたいOPアニメとかでは、普通枚数を増やすことはあっても更に減らしたりすると”スカスカ感”で魅力が半減したり、ひどい場合は「画面で何が起こっているのかわからない」ってことになっちゃうからやらないと思うんですが・・・このアニメにはその「ひどい場合」がたーくさんありました。
特にアクションシーンはほぼ全ての回で、よっぽどいい加減に大目に観て推測してあげないと、誰がどこに向かって何をしているのか理解できません。
更に「描くとめんどうで枚数が増える」と思われるカットは思い切って丸っきり描かない!という潔さ!ww
車が転がって潰れる…なんてシーンは、車が壊れる音だけがガラガラガッシャーンとなっていて、画面はそれを見ている人物の顔のアップだけ、次のカットでいきなり潰れて動かなくなった残骸だけが描かれる、なんていう具合です。
一度くらいならいいです。
そういうのが何度も何度も繰り返されます。
それから「絵を描くよりももっと簡単な方法で絵を動かす」テクニックの最大(以上の)活用 w。
ヒトが歩いているシーンを描くと、脚は当然動くし、腕だってポケットに入れてたりしなければ動かさなきゃならない。なので結局全身を歩くステップ1サイクル分の絵 数枚を描いてそれを繰り返し撮影するのだと思いますが、もしバストアップのカットにして脚を描かなければ、最少1枚の絵を、撮影の時に一定間隔で上下させながら横移動させることで”歩く”という動きを表すことができます。
このアニメでヒトが歩くときは、大概そんな感じです。
肩さえ揺らしません。
さらに、人物が話す場面では、”口元だけ描き替える”というリミテッド・アニメーションの王道すら捨てて鼻から上の目元だけのカットにしてこれも1枚の絵だけで押し通す、という徹底ぶり。
というわけで「どアップは枚数を減らせる!」と発見したのか、どアップ、やたら多いです。
『これは演出だよ!』という言い訳でもしてるんでしょうか?
でも”演出”だとしたらあまりにも不適切です。せっかくの気の利いた会話やセリフの言い回しも、こんな動かない画面のために全然活きてきてません。
さらにこの”どアップ”、アクションシーンでまで多用しているせいで、そもそも絵が少なくて分かりづらいものがもう全然何がなんだかわからなくなっちゃってます。
その意味で、これはいわゆる”止め絵”の多用より悪いです。
しかも、これだけ手を抜いて時間短縮されているのにも関わらず、このシリーズ、1クールの間に1回「総集編」を入れてきています。
「作画崩壊」というのは、たいていはおそらく「いいものを作ろうとしたんだけど見込みが甘くて間に合わなくて、しかたなく」発生するものなんだと思います。
時間が足りなくてラフ原画からの仕上げに時間がかけられなかったとか、リテイクできなかった…とか、予算が少なくて頼んじゃった安い下請け先が想定以上に酷かった…とか。
良く解釈すれば、「意余って力足らず」の結果という場合も多いのだと思います。
でもこのアニメの場合、カットすっ飛ばしの組み立て、どアップの画面構成なんかは、絵コンテの段階で決められることです。
つまりこの省力化のアイデアの多くは、演出家=板垣伸=制作会社ミルパンセ社長の夫 が制作する前から企んで行われているわけです。
「総集編」も、もしかしたら最初の企画段階からそのつもりだったんでしょうか?
そもそも与えられた製作期間が短すぎたとか、決められた予算が少なすぎた、とかいうのであれば、制作会社ミルパンセよりも企画した側が悪いのかも知れません。
誰の責任かはわかりません。
でも、とにかく、
せっかくこんなに面白そうな原作だったのに、
確かに文字よりもアニメにした方が面白さが増すであろう物語だったのに、
こんなに酷く貧しいアニメーションにしてしまったのは、あんまりだ!と思います。
みなさん、一緒になって怒りませんか? (^_^;)