oneandonly さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
女性キャラが輝く、神と人間の物語
世界観:8
ストーリー:5
リアリティ:5
キャラクター:7
情感:6
合計:31
<あらすじ>
18階層にて黒い階層主ゴライアスを撃破し、無事に生還した【ヘスティア・ファミリア】所属のベル・クラネル。ダンジョン探索の合間に開かれたささやかな酒宴。その席でベルは、他の冒険者から、あからさまな挑発を受け、乱闘騒ぎを起こしてしまう。乱闘騒ぎの相手は【アポロン・ファミリア】。その団長であるLv.3の冒険者、ヒュアキントスを相手に、ベルは完膚なきまでに叩きのめされる。
そして後日、ベルとヘスティアのもとに一通の書状が。それは、アポロンが主催する神の宴への招待状だった──
(公式サイトより)
タイトルにある意味騙されて視聴回避していた1期が意外に良かったことによる継続視聴です。
今回は作画めっちゃいい!と感動するシーンはありませんでしたが、全体的に質は保っていました。相変わらず、キャラクターデザインが魅力的です。
しかしながら、1期よりも評価が低くなってしまったのは、若干強引なストーリー(及びリアリティ)面のため。以下、辛口な感想を含みます。
{netabare}1期では、狂暴化したミノタウロス相手等、ベルの成長物語として、苦戦しながら何とか倒す展開に熱くなれたのですが、今回はアポロン・ファミリアやイシュタル・ファミリアといった上位のファミリアの軍団に対し、若干人数が増えたとはいえ、主人公の属するヘスティア・ファミリア(5人+助っ人1人)が対抗できるというのは、流石に主人公補正が強いです。
とりわけ、後半のイシュタル・ファミリア戦では、ハルヒメを助けるという理由でベルにファミリア全員が付き従って救助に成功するのですが、ハルヒメはミコトにとって幼少期の友達のひとり、ベルにとってたまたま迷い込んだ遊郭で助けてもらった娼婦といった関係にすぎず、ファミリア壊滅のリスクを冒してまで助ける義理があるとは思えません。1期でベルがリリの裏切りを全て許した仏のような対応を彷彿とさせる偽善性を感じます(その件も引っ掛かっていました。少年誌では一般的な動機かもしれませんが、自分はすんなり受け入れられない)。
ハルヒメが可愛いから何となく納得できてしまいそうですが、(ちょっと失礼な例えながら)ハルヒメとフリュネ(進撃の巨人の巨人を連想させるアマゾネス)の外見が逆だったらどうですか? 納得できますか? と問いたくなります。
ここで多くの視聴者を納得させられないとしたら、プロット的に練られていません。
ヘスティア・ファミリアは、アポロン・ファミリアとのウォーゲームに勝利して、仲間が増えて連帯を深め、立派な拠点もできたところ。そんな折にイシュタル・ファミリアとも戦争になるというのは避けたいと思うのが普通だと思います。ベルが抜ければ崩壊するファミリアなので、ベルを奪われないようにするのは仕方がないとして、ハルヒメの件で戦うという選択ができるか。
英雄願望の強いベルは個性だから仕方ないとしても、ヘスティア、ベルフ、リリ、ミコトの全員が賛同するのはどうか。ファミリアとベルのことを想うがゆえに反対する者がいるほうが自然です。ヘスティアとリリはベルに対して恋愛感情があるならば尚更、ライバルになり得るハルヒメ救助に賛同しないのが自然です(救助してファミリアに入れるとか、ヘスティアの行動に矛盾ありです)。
もちろん、他に説明できる理由があればいいのですが(実は、レベルブースト能力を得るためにハルヒメを奪取して信頼も得ることを企み、フレイヤも動かしていたとか(笑))、それはないと思われました。{/netabare}
物語において、キャラクター(特に主人公)の動機は非常に重要です。私が高評価している作品(ストーリー8点以上)は、概ね登場人物それぞれが各々の考えによって行動していて、それによってストーリーが進展していくものが多いです。
例えば、ストーリーに満点をつけたまどマギは、{netabare}主人公の最終的な決断にそれしかないと思える物語の包み方に感動したんですよね。追い詰め方がえげつないけど(苦笑)納得感が分かれるとしたら母親がまどかを送り出す場面くらいで。まどマギは世界系で風呂敷を畳んだ点はもちろん、キャラの思考と行動の畳み方も高評価しています。{/netabare}(まどマギの話なのでまどマギ未視聴者は開かないでください)
本作に戻ると、{netabare}それぞれが考えて行動しているという面では、ベルへの親愛・嫉妬という点が中心になっていて、作者の創った物語に沿って、キャラクターが動かされている印象を受けました。
あと、ハーレム属性のヒロイン級女性キャラが多い作品なので、この期はハルヒメが主軸でしたが、他の女性キャラの見せ場も増やせば、この作品の良さをもっと引き出せるのではないでしょうか。
1期の期待から辛口で書いてしまいましたが、終盤の神と人間の存在の違いからくる愛情(恋愛)や寿命の違いなどを村長の過去を交えて描いたエピソードは、ラブコメチックだったヘスティアのベル愛に一定の重みをつけることとなって好印象でした。この作品独自の世界観に関わる部分なので、今後もっと活用されるといいですね。{/netabare}
ということで、中盤のご都合展開的には若干退屈しましたが、最後まで視聴して良かったと満足できる内容だったと思います。
<2019.10.25追記>
登場人物それぞれが思考していないとのコメントをした点について本文を補足修正
(参考評価:3話3.9→4話4.0→6話3.9→8話3.7→9話3.6→10話3.7→12話3.8)
(視聴2019.7~10)