Jun さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
異国で生き方に悩む
深く作り込まれた中華系異世界を生き抜く日本人。大河アニメ。17年前の作品。
世界観に慣れるまでには時間がかかる。六話でネズミに出会うまでは超鬱展開で断念しそうでした。ヒロインがうちに帰りたいって何度も泣く。七話まで鬱展開が続いていたら馴染めず断念してた。全体的にひどく生真面目で女子高生が主人公なのに息を抜けるギャグや微エロが一切ない。
差別、貧困、無知、嫉妬、分裂(実感のなさ)からの自己実現がテーマ。誰かがいつも何か悩んでる。アニメを見て、どう生きるべきかとか、正義とは何かとか考えたい人はあまりいないかもしれないが。
現代日本から封建制度で妖獣のいる中華系異世界に放り出された女子高生が王になる話が一つ。現代日本で育った子供ユニコーン(釘宮さん)が異世界に戻って、本来の役目である王を決めて補佐する話が二つ目。三つ目から群像劇になっている。王になった女子高生が諸侯、官僚達とやり合いながら、水戸光圀のように隠れて反乱を支援する話。革命で追われた暴君の娘の改心などシビアなショートエピソードが入る。四つ目のは、王が地方の反乱をどうおさめるかという話。もう異世界というより時代劇そのもの。
“名言”も多い。矛盾しているものも。「知らないでは済まない責任がある」「不幸を自慢するな」「自分を悲しんで泣くのは餓鬼の涙」「自分のやりたいことをするんだ」「迷った時はやるべきことを」「神頼みなんていらない」「役割なんて誰からも与えられない」
何もアニメで異世界までいって悩む必要はないのだが、現代世界では悩むのには複雑すぎて教訓を伝えにくい。そうかといって昔話などに感動することもない現代では限定された想像世界が生き方を考えるのに便利なのかもしれない。
2000年代たくさんある異世界の中でも屈指の出来栄え。名残惜しい。原作は初稿から二十年近くを経てもうすぐ完結するらしい。