「BEM(TVアニメ動画)」

総合得点
64.5
感想・評価
125
棚に入れた
404
ランキング
3783
★★★★☆ 3.3 (125)
物語
3.0
作画
3.2
声優
3.4
音楽
3.4
キャラ
3.2

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Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

たった1つの願い、それは…「はやく人間になりたい」

私の生前にアニメ化された作品…というのと、ベム・ベラ・ベロのキャラクターの名前は知っていましたが、映像を見たのは本作品が初めてでした。

完走してwikiをチラ見して初めて知ったのは、2006年にも完全新作アニメが放送されていたこと…
残念ながらこちらの作品も未視聴です。
従って、今回が3回目のアニメ化作品ということになります。


湾港都市「リブラシティ」。
政治・経済・文化の中心であり、街の"富"が結集した「アッパーサイド」と、
汚職や犯罪に溢れ、人々がお互いを疑い合わざるを得ない「アウトサイド」、
その両エリアを分かつ巨大な運河と、一本の橋。
これらにより構成される、まさに人間の"差別意識"が顕在化した様な街である。

そんな「アッパー」から「アウトサイド」に赴任してきた、
若き女性刑事・ソニアは、数々の事件を追う中で、
人間を守るために戦う、醜い姿の3人と出会う。
彼らは一体何者なのか…?

妖怪人間3人は、それぞれの思いを抱えながら、正体を隠し生きてきた。
人間に仇為す悪を倒すことで、人間になろうとする「ベム」、人間に憧れ、
人間と同じ学校に通い、人間を理解することで、人間になることを目指す「ベラ」、
人間や世間に達観し、冷めた様子でゲームの世界に没頭する「ベロ」。
彼らはいくつもの事件や、人間たちの触れ合いの中で、傷付き、悩む。
人間のために戦っても、その醜い姿から、決して人間に受け入れられることはない…。


公式HPのINTRODUCTIONの一部を引用させて頂きました。

3人の存在は拡散した周知の事実ですが、3人を取り巻く状況は物語によって異なっているようです。
第1期では各地を放浪しながら悪に対峙し、第2期では流浪していた妖怪人間が東洋某国の湾港都市に流れ着いた場所が物語に舞台だったみたいです。
そして今回がリブラシティ…
いかに、3人が一つの場所に定住できなかったかを見ているようで少し心が痛みました。

物語を完走して、この作品が何度も新作として蘇ってきた理由が分かったような気がします。
物凄く沢山のメッセージが込められた作品だったんですね。
何より、3人の「人間になりたい」という強い決意には心を動かされました。

「差別」や「格差」は私たちの日常に蔓延しています。
どちらも似たような単語ですが、意味は大きく異なります。
「差別」は、特定の集団や属性に対する個人に対して特別な扱いをする行為で、「格差」は、同類のものの間における程度の違いを意味しています。

私の個人的な意見ですが、「格差」は社会における必然だと思っています。
勿論、評価が平等であるのは大前提ですが、一歩上のステージに上るための
「努力」だって正当に評価されなければならないアイテムだからです。
同業他社の中には自分より努力したり、より多くの研鑽を積んでいる人が大勢います。
そういう頑張った人と、そうじゃない人の間に差が生じない方がおかしいと思います。

人間と妖怪人間は異なる存在だから「格差」とう定義は相容れないかもしれません。
ですが、切り口を人間と妖怪ではなく、「他人に対する貢献度」という切り口で見たらどうでしょう。

3人は、沢山の悪から人間を守ってきました。
私たち人間なんかよりよっぽど沢山の命を拾ってきたじゃありませんか。
だから、見方を変えたら3人はよっぽど立派で微塵も差なんかないんです。

でも、ここで厄介なのが「差別」だと思います。
格差は物事の結果ですが、差別は思い切り人間の主観なんですよね。
しかも誰もが心の内に住まわせ、時には気持ちの制御を離れて形振り構わず暴れまわる…
自分可愛らしさの本能がそうさせるんでしょうか…

だから3人と人間に差があるとするなら、3人を差別しているのが人間というだけのこと…
ここに大きな隔たりがあるんですよね。
3人はこういう人間の弱い部分を知らない訳じゃありません。
それでも人間になることを渇望するのですから…
きっと沢山の葛藤を積み重ねて…それでも僅かな希望に縋り何度も繰り返してきたのでしょう。
そんな3人の背負った悲哀や浪漫が、何度も蘇ってきた理由なのではないでしょうか。
人間なんて決して良いモノなんかじゃないのに…
でもこれが「ないものねだり」なのかもしれませんね。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、坂本真綾さんの「宇宙の記憶」
エンディングテーマは、JUNNAさんの「イルイミ」
ジャズ調のオープニングが格好良いと思っていたら、椎名林檎さんが楽曲の提供者だったんですね。
JUNNAさんは相変わらずの安定感…未だ若いのに流石です。

1クール全12話の物語でした。
いつか3人に心から笑顔になれる日が来ることを願っています。
しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2019/10/20
閲覧 : 312
サンキュー:

19

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