fuushin さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
込めた思いは様々なれど、己が身の知る空の青さよ。
いやおっそろし~。
うったまげたよ。
出だしから、まさか "ガンダーラ" が歌われるとは。
そこは、神さまが憩うエデンの園なんよ。
ひがっぷしいユートピアだんべえ。
のとろディストピアを吐き出すあおいは、そんぶりが、ちびっとずいてるんな~。
あか姉の傘の縁につるっといた、青空も知りゃあしねえテルテル坊主むし。
秩父おろしの成り行き任せっつんなぁ、ちっとんべぇ、よげんなってんな。
・・・って、秩父弁、合ってるかな??
18才の選択と31歳の決断。
自分の居場所を、ここではないどこかに見つけ出したい妹。
生まれ育った街で、赤い糸の括りを信じつづけている姉。
全国を巡るばかりで、約束の舞台にたどり着けない男。
あてどもなく流れる世界線は、紆余曲折を見せ、落とし処が分からなくなっている。
夢に憧れ、夢に耽り、夢に黄昏れる。
青い空を感じるとも、時間ばかりに縛られて、運命の日は今日なんだとは誰も信じていない。
いったいガンダーラを何処に探すのだろう。
ベースギターの弦に心が開放され、封印したリードギターの弦が解放される。
時間を覚醒させたのはあおい。
物語を後押ししたのはしんの。
2人には大切なものが見える "眼玉スター" なのだ。
しんのが語る。
あおいは知ることになる。
過去に縛られ、未来の扉をノックすることにためらう理由を。
あか姉と、慎之介。そしてあおい自身としんのの胸の疼きを。
時間を覚醒させたのはあおい。
物語を後押ししたのはしんの。
2人は、ヒロイン&ヒーローでなきゃならないんだね。きっと。
18才の2人の決断。
31歳の2人の選択。
しんのへの憧れ、しんのの決意。
あか姉への感謝 あか姉の包容。
慎之介の未練。慎之介への願い。
綯い交ぜになったあおいの迷い。
あおいがキーマンの立ち位置に育つまでのシーンが、じわじわと胸に沁み込んできます。
年齢がターニングポイントに近づけば、憧れはいやでも現実に染められていきます。
あか姉たちの選んだ時間と今の立ち居振る舞いもちびっと理解できるようになります。
あおいの世界では、慎之介とあか姉が一緒になる生き方が、なんとも相応しいのでしょう。
2人の幸せの先に、あおいは空の青さを取り戻すのでしょう。
見上げる空に、広さと深さ、高さと美しさを知るのでしょう。
そして、ベースの弦に自分のリズムをはじかせるのでしょう。
舞台になっているのは、"あの花" や "ここさけ" の街。
本作では、しんのが、"めんま" や "玉子の妖精" のような立ち位置でしょうか。
生霊、夏のケモノ、玉子の呪い。
エモーショナルなスピリチュアリティの揃い踏みです。
そんなしんのが "起点" と "写し鏡" になっていて、あおい、あかね、慎之介の13年を振り返らせ、前へと踏み出すエナジーの供給源となっています。
私は、彼らの立ち位置そのものが "起承転結" になっているように感じます。
どのキャラに感情移入するかで、作風も、味わい方も違ってくるのではないでしょうか。
(ちなみに、就職氷河期、バブル崩壊やリーマンショック後の世代と、その中間期の売り手市場期の世代の違い。あるいは、都市部と地方との違いによっても、受け止め方は大きく変わってくると思います。)
琴線に触れたのは、EDで描かれた「結」のむすびのストーリー。
そのトリガーを引いたのは、あおいです。
その絆を紡いだのも、あおいです。
超平和バスターズは、"自縄自縛からの解放と再生のシナリオ" が鉄板ですが、どうにもというか、どうやらというか、思想にいくらか変化があったのでしょうか。
結末の演出をグッと締めてきたなと感じました。
あんきな余韻と、穏やかな産霊(ムスヒ)を生み出す、いつもの秩父です。
もしかしたら、この街に、ガンダーラを探しにくる方が現われるかもしれませんよ。
でもね・・・。
ちちぶ。あおい。しんの。
みな、その言霊のとおりなんですけれどね。
あちゃ、長文を最後までお読みいただき、ありがとうがんす。
本作が、皆さまに愛されますように。