R子 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
少年の成長の物語
あまりにも有名なキャラクター。
ラスカルは、ビジュアルのキャラクターイメージとして「かわいい」のみが先行しているのではないだろうか。私がその通りで、ラスカルの物語をこれまで知ることがなかった。
今回、有料アニメサイトで全話観ることができたので、何気なく観てみることにしたが、何気なく観てはいけないアニメだった…。
ラスカルはある少年と一緒にいていつも楽しく過ごしているようだ、というイメージでいた私は、ラスカルと少年を取り巻く環境が必ずしも幸せなばかりではないことに衝撃を受けた。まるで一生の相棒のように、いつまでも一緒にいられるというおめでたい結末を想像していただけに、中盤から感じていた嫌な予感が、最終的に的中してしまった。
しかもこの物語は、ラスカルの可愛さを愛でるだけの物語ではなく、少年の成長を見守る物語でもある。心優しい少年は、いつでもラスカルのことを想いながら暮らしている。ラスカルを可愛がる少年が、ラスカルを守るために様々な苦難を乗り越えていく。この健気さに、視聴者は母性が芽生えてしまい、いつでも最善の方向に物語が傾くように願ってしまう。だからこそ最終回は色々な気持ちが複雑に込み上げてきてしまい、涙なしには観ることができない。(最終回は最初から最後までハンカチ片手に泣きはらした)
また、物語を引き立てる音楽と挿入歌が良い。特に最終回に向かう挿入歌は歌詞が心情を物語っていて二重で泣ける。
<余談>世界名作劇場にはたくさんの物語が描かれているが、このラスカルの物語に出てくる人物の中にも「嫌な奴」がいる。アニメに出てくる「嫌な奴」は、それでもだいたいは主人公が少しのいい面を見て印象が変わるものだが、この物語に出てくる「嫌な奴」は最後まで「嫌な奴」である。
とにかく、ラスカルをビジュアル先行で知っていた私は、180度印象が変わってしまった。これからは、ラスカルのイラストを観るたびに幸せに暮らしてるんだな…と思ってしんみりしてしまいそうだ。
絵柄は古いが、是非観てほしい作品である。