レオン博士 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
仲間の想いを、世界でたった一人、背負うということ。
原作はゲームで、ずっと評価が高いのは知っていました。
アニメ化にあたり始めてシュタゲを知りましたが、何故シュタゲが神ゲと言われているのか、その理由がよくわかりました。
結論から言うと、史上最高のタイムリープ作品だと思います。
私は理系ではないのでタイムリープ理論が正しいとか実現可能かとかそんなことはよくわからないですが、タイムリープの理論についても解説していてとても興味深い話でした。
私は文学や歴史のほうが好きなので文系に進んだのですが、科学って面白いなって素直に思いました。
あまりにもシナリオが良すぎて、思わず何度か泣いてしまいました。
こんなに中二病の主人公がカッコいいと思ったことは今までにないです。
すごく面白かったし、感動しました。
オススメです!
以下ネタバレ感想。
{netabare}
この作品の素晴らしいところは、中二病をこじらせすぎた倫太郎が偶然
タイムマシンを発明して、最初はタイムマシンを使って周囲の友達の夢を叶えたり、タイムマシンって夢があっていいなーって話だと思っていたら、急に起きる悲劇。
大切な仲間の死。
そこでタイムマシンを使って悲劇を回避しようとする倫太郎と仲間達。
ここまでは普通の話なんだけど、倫太郎や鈴羽やクリスはまゆりを助けるためにつらい決断を何度も下すことになる。
大事なものを守るために、別の大事なものを犠牲にしなければならない。
やっとつかんだ夢を手放す?
最高に幸せな時間をなかったことにする?
大事な人の命を助けることができたのに、それをなかったことにする?
いくら大切なものを守るためとはいえ、そんなつらいこと普通はできない。
一度手にした希望を手放すなんてとてもつらいこと。
その心の葛藤と、それだけ思い悩んで、自己犠牲の精神でやっと掴んだ夢を捨ててまで挑戦した結果、それが失敗した時の悲痛の叫びが見ていて心が痛んだ。
「失敗した、失敗した失敗した失敗した」
これが一番心に来ました。成功すると信じて鈴羽を送りだしたのに。
結果は自殺・・・。
どうせメール送れば鈴羽が復活してやり直せる。
そんな薄情なこと、誰も思わないんですよね。
やり直しても、仲間を助けるために過去に飛んで、失敗に気づいて何十年も後悔と懺悔の気持ちを背負いながら独り孤独に生きて最後には死を選ぶほど思い詰めてしまった鈴羽の想いは、生きた足跡は、なかったことにはならない。
私の犠牲は無駄だった、私の人生は無駄だった。
誰だってそんな無念を抱えながら死にたくなんてない。
倫太郎が最もカッコいいと思ったのは、タイムマシンという何度でもやり直せる武器を手にしながらも「失敗してもやり直せばいい」という自分本位の考えじゃなくて、失敗したことで苦しむ仲間の気持ちを想って一緒に苦しんで泣く姿。
倫太郎がやり直せば、少なくとも倫太郎の目の前にはそのつらい気持ちが消えてなくなった仲間が戻ってくるのに、これから消えてなくなる仲間のつらい気持ちにすら共感して一緒に泣いた。
消えてリセットされる想いも、確かに仲間の想いだから、彼はそれを大事にしたかったんだ。
そうやって仲間の想いは全部背負ってしまうのに、消えてしまう仲間の想いは世界でたった一人、自分しか覚えていない。
じゃあ、そんな倫太郎の想いは誰が背負ってくれるの?
みんな忘れてしまうのに。
そうやって何度も何度も苦しむ仲間の姿に心を痛めてきたのに、うまくいきそうだったのに、最後の最後でどっちの仲間の命を助けるか、どちらを犠牲にするのかを選べっていう残酷な選択肢。
それは、大好きな仲間を自分の手で殺すようなもの。
自分の決断で、仲間の死が確定する。
しかもその仲間は、私の命を選べとは言わない。
それどころか倫太郎とは逆のことを言うんですよね。
世界線が変わったらそこには別の私がいる、過去の私が死んで世界線が変わってもこの世界線の私が死ぬという保証はない、だから私を見殺しにしただなんて思わないで、世界線が変わってもたった一人、岡部が忘れなければ私はそこにいるから、と。
倫太郎は世界線が変わっても変わる前の仲間の苦しみがなかったことにはならないと考えて苦悩するけど、クリスはその優しさと苦しみを理解したうえで、岡部が私を忘れなければ私はそこにいるからって勇気づける。
クリスだって自分が消滅してしまうかもしれないことが怖くないわけがないのに。
倫太郎の想いを、誰よりもそばで見守って一緒に戦ってきた仲間だから。
自分で自分を殺す決断を下す大切な仲間が、自分の決断一つで死んでしまうかもしれない。
そんな残酷な決断をできるでしょうか?
わたしには無理だ。
過去を変えるってそんな簡単なことじゃないよ、もし過去を変えることができたとしても、変える前に苦しんだこと、嬉しかったことは確かにあったことなんだよっていう、大切なことをシュタゲは教えてくれました。
お願い倫太郎、まゆりを、クリスを、鈴羽を助けてあげて!
私は祈るように最高にカッコいい英雄の活躍を見守った。
{/netabare}
これは、涙なしでは見れない名作だ。
もしも、大切な人を守るために、何かを犠牲にしなければならないとしたら、あなたは何を犠牲にできますか?