R子 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
悪人たちが悪人過ぎて辛い。
世界名作劇場の一作品。
ポルフィが妹を探す長い旅に出る話。
絵柄が世界名作劇場っぽくないなーと思いつつ観てみることに。
が、途中で観ているのが辛くなった。
最後まで観ても、あまりにも不幸すぎる出来事の数々が、結末に待つ幸せを覆せないのだ。(視聴者的に)
舞台はギリシャ。出稼ぎに行った父が帰ってきて一家四人で新たな出発を踏み出すも、突如ギリシャを大きな地震が襲う。
その際、不幸にも両親は亡くなり、残されたたった一人の家族である妹ミーナは生気を失ってしまう。
二人は救護所で過ごすが、ポルフィは修道士の話を偶然聞いてしまう。それは、「ミーナの引き取り手が決まったが、引き取り先の希望は女の子だけ」というものだった。兄妹が引き離されてしまうことを恐れた二人は、その場から逃げ出すことを決意する。ポルフィとミーナは待ち合わせて逃げようとするが、ポルフィは約束の時間に待ち合わせ場所へ行くことができなかった。ここから、二人の長い旅が始まる―。
と、ここまでがプロローグなのだが、ここからが大変。
人を探す手段もなく、ただあてもなく人から人へ訪ね歩くだけの旅。しかも、会う人には騙され続けるポルフィ。良い人ももちろんいるが、その反面、騙す人たちの手口と嫌な奴っぷりは半端なく心をえぐられる。さらに泣かせるのは、それでもポルフィは人を信じ続けることだ。こんな騙され方をすれば、疑心暗鬼になって心は荒む一方だろう・・・と思うのだが、それでも出会う人を頼り、裏切られ・・・と繰り返す。
しかし、それほどに妹を求め、ただ一つの目的のためにまっすぐひたすら歩いていくしかなかった少年の純粋さを想うと、ただひたすらに泣けてくる。
見なければよかった、と思うほどに、ポルフィの純粋さにつけ込んだ悪人たちの所業はトラウマレベルである。が、頼った人たちも決して裕福ではなかったことを考えると仕方の無かったことなのかもしれない。
・・・とはいえ、やはり人をだますことは良くないので、横一列に並べて頬をひっぱたいてやりたいという思いに駆られる。
そう、この物語はポルフィが決してやり返さず、振り向かない。ただ、次に向かうべき場所にまっすぐ前に進んでいく。だから、見ている方としてはもんもんとしたやり切れない気持ちが残ってしまうのだ。
終わりは意外とあっさりしている。
しかし「出会えた」、そのことがこの物語のエピローグであり、ポルフィの長い旅のゴールなのだから、後日談は「幸せに暮らしましたとさ」以外には無いのだろう。(というか、そうでなければ不幸すぎる)
ポルフィには「本当によく頑張った」と誉めてあげたい。
観た後、しばらく引きずるアニメなので、覚悟を持って観ることをおすすめする。