シャベール大佐 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
非常にたくさんの楽曲が用意されている、オリジナルの音楽アニメ
人類が移住してから約50年後という火星を舞台にした、オリジナルの音楽アニメ。全24話。
物語は、有名な政治家の家で育ったお嬢様・チューズデイと、地球からの移民で施設育ちのキャロルが、ある日、橋の上で偶然出会って意気投合し、共同生活をしながらプロのミュージシャンを目指していく、みたいな流れ。基本的にはサクセスストーリーですが、家族関係などの人間ドラマや、現実の世界にも通じる社会問題なども織り込まれています。ただ、実際に観た感想としては、真面目な題材も扱っている割には作風にコメディ色が強いですし、ひとつひとつの問題も深く掘り下げるわけではないので、全体的に軽い、あるいは薄いという感じは否めませんでした。
また、物語の本筋も平坦で起伏に乏しかったです。成長や成功を描く作品ならば、未熟だった人間が様々な経験を積むことで成熟していくとか、暗い貧乏生活から努力の末に脱出して富と栄光を掴むといった、スタート地点とゴール地点の高低差が必要だと思いますが、この作品の場合、無名の下積み時代と、それなりに有名になって以降とで、2人の主人公の人間性や暮らしぶりにほとんど変化が感じられず、成長や成功の実感がありません。個人的には、キャロルとチューズデイが、あまりにもピュアすぎたような気がして、もう少し俗物っぽい部分もあったほうが、物語としては面白かったように思います。
作画はとても綺麗。音楽は、非常にたくさんの楽曲が用意されていて、とても贅沢な作りでしたが、特に何度も繰り返して聴きたくなるような曲はなかったです。
最後まで観終わって、別につまらなくはないですが、まあそこそこ程度の満足度でした。あれもこれもと描くものを広げた結果、いちばん伝わってきたのは作り手の洋楽への愛情だったりして、アニメ作品としては、もう少し狙いを絞ったほうが良かったような気がします。