STONE さんの感想・評価
3.8
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
色々と入れてみた結果が
元々音楽ものが好きなこともあって、序盤は本当に引き込まれたのだが・・・。
キャロルとチューズデイとの出会いから、ガス、ロディと一緒にドタバタ込みで色々と
やってみる様は、「貧しいながらも楽しい我が家」的な良い雰囲気が漂っていた。
ここでのプロモビデオ作りは作中的には失敗作という扱いになっていたが、色々なものを
ぶち込んだコラージュ的内容は個人的にはむしろ面白いものに仕上がっていたという印象。
ストーリーにぎくしゃくしたものを感じるようになったのは「マーズブライテスト」辺りから。
「マーズブライテスト」そのものに関して、ストーリーに絡む出場者以外はイロモノキャラと
いったキャラデザインばかりだったが、そこに当てられている音の方は結構ちゃんとしており、
そのギャップが面白かった。
ここでのシベールのくだりはキャロル&チューズデイを苦境に陥れるものであったが、
結果としてはあまり意味のない展開といった印象。
更に後でアンジェラの方にもストーカー問題が出てきたのはあまりにも芸がない。
アンジェラと言えば、存在的にはライバルポジションなのだろうが、さほど
キャロル&チューズデイとの絡みもなく、当初は感じられた「エリートと雑草」、
「AIと手作り」といった対立概念はさほど意味を持たないものになってしまった。
このアンジェラ絡みの部分に代表されるようにこの作品は色々な要素を盛り込みながら、それを
作品内で消化しきれなかった感が強い。
タオがキャロル&チューズデイを気にするようなくだりがあったが、これもその後で特に何も
なく終わってしまったし、ダリアの過去描写、チューズデイの初恋、移民問題を中核に置く
大統領選を巡る政治問題及びその陰謀なども同様な感じ。
特に政治問題はチューズデイの母ヴァレリーが大統領候補ということでもっと描きようが
あったと思うのだが。
「マーズグラミー賞」でチューズデイとヴァレリーの関係が公になるが、特に何の
リアクションもないまま終わったのは本当に驚いた。
移民問題に関しては、そもそも火星の大衆が移民をどう捉えているのか描かれて
いなかったので、移民受け入れに対する賛成意見も反対意見も世論に合致しているのか
していないのか判らないまま。
政治絡みだとシュバルツやジェリーの存在はいかにも巨悪といった感じだったが、最終話で
一気に解決したのも無理矢理押し込んだ感が。
後半以降は様々なアーティストが登場してキャロル&チューズデイと関わっていくが、
クライマックスが「奇蹟の7分間」であることが最初から明示され、それが多くのアーティストが
集うようなものになるだろうとは想像できてしまうため、「そのための要員なんだろうな」と
いうメタ的要素が強く感じられてしまった。
そのために唐突に現れて、不自然にキャロル&チューズデイと絡んでいった感が強い。
更にこの後半は回りが動いた感が強かったため、キャロル&チューズデイは受身の印象が強く、
流されるままといった感が強かった。
曲作りはしていたようだが、もっと二人自身の意志で歩んでいくような部分が観たかった。
この「奇蹟の7分間」自体、変にハードルが上がってしまったため、いざ描かれてもさほどと
いった感じ。
曲自体は良かったが、全体にR&Bやヒップホップなどのブラックミュージック寄りの印象。
火星の音楽シーン全体に関わるような内容が多かったので、もっと幅広いジャンル性を
感じたかった。
音楽ものということでサブタイトルは楽曲のタイトルからの引用であり、劇中のキャラの
会話にも現実に存在するミュージシャンの名前などがポンポン出てくる。
この辺は元ネタを知っていると楽しくはあるが、メタ的なサブタイトルはともかく、劇中
会話のミュージシャン名などは作品の時代設定を考えるといささか古いミュージシャンばかり
なのでは?。
2019/10/14
2023/10/09 加筆・修正