おこめはん さんの感想・評価
3.9
物語 : 5.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
”神に抗え”この言葉の意味が作品を通して変化していきます
簡単にいうとサバイバル要素のあるディストピアものでしょうか。
例えば子供を産むにも許可がいる、そんな強度な管理社会になったのは、それだけの理由と歴史がある。
子供時代はそんな世界の謎に迫り、迫ったが故の危険が付きまとう、都市伝説ホラー要素も強いですね。
支配される側だった子供時代が終わり、大人時代になると支配する側からの視点となります。
支配される側の逆襲からいかに自分の大切な人・世界を守るか。
どのような作品でも、どうしても自分と近い立場、理解しやすい立場である主人公の正義を真っ当なものだと思ってしまいがちですが、立場が違えば正義も変わってくる。
この作品は、主人公が支配層・被支配層どちらの立場も経ているので、それぞれの状況や正義があるのだとわかりやすい気がしました。
最終話は最初から最後まで心にズシンと残るシーン、台詞のてんこ盛りです。
{netabare} スクィーラと早季の檻ごしの対話、裁判でのスクィーラの言葉、バケネズミの生まれた理由、それが真実だとして彼らを人間と思えるか?という問いと、人間の中ではバケネズミに同情的である早季でさえ発動しない愧死機構…
綺麗事では終わらないからこそ、その後の早季が変えていこうとする世界の未来に光がよりリアルに見えるような気がしました。
特に印象に残ったシーンは、裁判でのスクィーラの「私たちは人間だ」と訴えたシーンです。
私たちもお前たちと同じように感情があり尊厳のある知的生命体なのだと、その叫びには息をのみました…声優さんの演技にも…{/netabare}
ホラー要素・サバイバル要素・ミステリ要素そろい踏みで今までの貴志祐介さんの書いてきたジャンルが全て詰まっている、そんな作品だと思います。
原作がかなりのボリュームですので、やっぱり削られている情報がかなりあります。
その辺りはしょうがないとわかってはいるのですが
(むしろあの原作を映像作品として落とし込めただけすごいのだろうとは想像できるのですが…)
残念に感じたのは正直なところです。
アニメで興味を持たれたら原作小説も是非。世界観の設定の緻密さを味わっていただきたいです。
アニメでは良くわからなかった部分もしっかり説明されているので、より世界を理解して楽しんでいただけると思います!