たわし(爆豪) さんの感想・評価
2.3
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 1.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ひと時の「快楽」
町山智浩氏の新海誠監督の「天気の子」批評が面白かった。
氏曰く、「天気の子」におけるカップラーメンやポテトチップスなどのジャンクフードをうまそうに食べるシーンや、コンビニ、ラブホテル、風俗、ネット、漫画喫茶などの猥雑な東京のシーンを評して「ブレードランナー」的な「暗い未来象」だという。
しかも天気の子は今まさに異常気象により2019年日本に猛威を振るっている台風十九号のように四六時中雨が降り続いて、日本列島が沈没しかかっているところも「暗い未来像」だという。
ネットには過剰なポルノが現実の恋愛を阻害し、50年後には日本の人口の60歳以上が過半数を占めるのに、増税やらなんやらで未だ抜本的な対策が練れていないことなどの現実感も世相を反映しているという。
そういう「現実」を生きる「子供達」は当たり前だが、「夢」を見るよりもひと時の「快楽」を優先してしまうのも頷けるという。
昔は貧しかったが「夢」があった。一戸建てや車を買って家族を作って月に一度は外食をして美味しい物を食べたり、旅行に行く。
しかし、今は同じく貧しくとも、ネットで全てを見られるし、コンビニに行けば安価だが豊富な食べ物がある。しかし、細分化するにあたって人間関係は希薄化し、家の中は安い物が溢れている。
こんなにも何もかも「量産的」で多様的でありながら「型にはめられた社会」を「天気の子」では表現しているという。やはり40年以上映画評論している人の意見は普通とは違う。
さて、そこで「ラブライブ」だが、本作はアニメ界の「ジャンクフード」だと思っている。サンライズはロボットアニメのヒットを狙えないため「美味しい」が「栄養のない」作品を作るしかなかった。。。といっても良い。
オタクがオタクたる所以は「凝り固まった世界に心酔し、臨機応変なコミュニケーションを取れないこと」だと思っているが、秋葉原事件や京アニ放火事件なども典型的なこういうタイプの「行き詰まり感」が関係していると思う。
僕はこの間の「ジョーカー」を見て思ったのは、犯罪者が犯した罪は重いし罰せられるべきだが、「それを生み出した社会」にも問題があると思っている。だから、あの作品は今の時代に評価されたんだと思う。
もう一度、アニメの力にはひと時の「快楽」だけでなく、「人に何かを伝える」ものであってほしい。
だから僕は「ラブライブ」を評価しないのである。