STONE さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
魔術世界のミステリー
原作は未読。
Fateシリーズのキャラであるロード・エルメロイII世(ウェイバー・ベルベット)を主人公とした
作品で、ウェイバーが主人公という点でも過去のFateシリーズ作品だと「Fate/Zero」との
関連性が一番高そう。
それにしても内心はともかく、聖杯戦争も明るいノリで挑んでいく陽気な青年然とした
ウェイバーが終始苦虫を噛み潰したよような表情の重苦しい男になっていて、その
変わりようにはいささか驚かされた。
本作を観るに思っていた以上に第四次聖杯戦争の呪縛がウェイバーを縛り付けていたようで、
それが以後の彼の行動を決定付けているみたい。
その呪縛も本作の最後でようやく解き放たれた感があって、フィクションながらホッとした。
「Fate/Zero」から変わってしまったと書いたが、本質的な部分は変わってないんだなと。
もっとも呪縛はまだ残っているようで、終盤に登場したドクター・ハートレスの問題が
片付くまで続くのかなという感じ。
形式としてはミステリーの体裁を取っている作品。
特に後半の魔眼蒐集列車の状況は、列車による密室殺人などミステリーの王道の一つ。
SFやファンタジーの世界観によるミステリー作品は他にも観たり読んだりしたことがあるが、
非現実的要素が作品内の持ち込まれてしまうので、なかなか作りが難しい印象がある。
本作も作中でも言われているように犯行方法などは魔術を使えば何でもありみたいな
状況なので、通常の謎説きミステリーのようなスタンスで観るとつまらないものになって
しまいそう。
そういう意味では個人的にはトリック破り的な方法ではなく、動機から事件の真相に
近づこうとするスタイルはなかなか面白かった。
他のFateシリーズのキャラが数多く登場するのも楽しいところで、Fateと言えば色々な
世界線があるので、本作に登場した既出キャラも出自元のキャラとは厳密には別人物
なのだろうが、それでも色々な作品のキャラが集っていくような展開はやはり嬉しいところ。
そういう意味では他のFateシリーズを知っている人の方が楽しめような作品。もっともネット
などでこれがファーストFateみたいな人もそれなりに楽しんでいたようで、細かいディティールが
判らなくとも、雰囲気だけで充分に楽しめる力を持った作品なんだろうなあと思う。
かく言う自分もゲームをやらない人なので、アニメ化されていない「Fate/Grand Order」
出自のキャラなどは判らなかったりするけど、それでも充分に楽しめました。
2019/10/06
2024/06/17 加筆・修正