あしゅか! さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
家族の定義とは
まず大雑把な評価から
シナリオ ☆☆☆☆☆ 作画☆☆☆ 声優☆☆☆☆
OP ED ☆☆☆☆☆ キャラクター ☆☆☆☆☆
この作品を批評する上でまず多くの声が上がるのが作画だろう。たしかに作画は所々荒く、縮尺がおかしいとしか思えないシーンもあった。しかし、作画だけで作品の評価が決まるわけではないというのは自明である。それでは、なぜ自分の評価が4.5もあるのかというのを書こうとおもう。
シナリオについて
"変好き"は、一見スラップスティックで、所謂ライトノベルにありがちなテンプレラブコメ...と、作品の序盤中盤では感じていた。その時点ではシナリオの評価はとても低く、決して良作ともいえない、凡作止まりであると評価していた。
しかし、物語が後半になり、妹がシンデレラだという事実が発覚してからは、とても深い作品となる。
主人公は妹が自分を好いている、という事実に対して葛藤があった。それは最終話と、シンデレラ発覚シーンの雰囲気で伝わると思う。主人公に葛藤があったのは、一般常識的に考えれば当たり前なのである。最終話でパーカー先輩が言っていたように、それは客観的に見れば"禁断の恋"ということに他ならない。しかし、実際は妹との血縁的関係はなく、養子としての家族関係だったことが最終話で明かされる。そのことに主人公は動揺する。血縁関係がないのなら、交際関係になるのは、別に良いのではないだろうか。いやしかし、家族関係であることには変わりないのだから、やはり恋愛感情を抱くことは間違いではないのか。
このとき主人公は、上に書いたどちらの考えを認めたとしても、今まで通りの"兄妹"という関係には戻れないことを悟っていた。
妹は主人公を恋愛対象としてみていたが、主人公は妹を恋愛対象としてはみていなかった。というよりも妹を、兄妹であると見ていたし、自身でも上に書いたように、今までの関係に戻れないという思いがあったことから、これから先も兄妹という関係を続けたいと思っていた。
その時、風呂でのシーンで、妹からとある話を聞かされる。それは、養子として妹が主人公の家族になった時に、妹は当時家族を亡くした深い悲しみで酷く傷ついていた。しかし主人公が妹に対して、お前は俺の妹だ、俺はお前の兄だ、だからずっと一緒にいる。この言葉に妹は救われた。そして主人公を好きになった。
これはつまり、妹が家族という関係に救われたことを表していると言える。それに気づいた主人公は、妹を抱きしめ、「みずは は俺の家族だ」という発言をする。これは妹の話を聞いた主人公が、家族という関係を大切にしたいと思ったのと、自分の兄妹という関係を維持したいという気持ちが重なったことからの発言である。
作品はそのあとプロローグに入る。そのプロローグで、変わったものもあれば、変わらないものもある。という主人公のセリフがある。これはまさしく妹と自分の関係を表している。
そしてラストシーンで、妹が露出狂であることが明かされ、ついにパンツの伏線が回収される。そしてそのあとに妹が、変態な妹でも彼女にしてくれるか、といった発言をする。主人公はそれを否定したが、その時のセリフは、妹だから断るといった風ではなく、変態だから断るといったニュアンスであった。このことから、主人公は妹だから付き合えないという気持ちを抱いていないということがうかがえる。主人公は本当に大切なことは、形上の関係ではなく、本人がどうしたいと思うか、ということに気づけたのだ____。
この作品から学べることは、今まで形だけになっていたもの、例えば家族だとか、性別だとか、そんなものは実際は関係なく、家族だからダメとか、LGBTはダメだとか、そういった気持ちは本来間違っていて、大切なのは自分の気持ちに正直になり、相手を思いやり、決して形上の関係に囚われて生きてはいけない。ということである。
拙い長文になってしまったが、自分の考えが伝わったら幸いである。