STONE さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
正直、ここまで人気作品になるとは思わなんだ
原作は未読。
いきなり自分語りになってしまうが、今では漫画雑誌の類を一切買わなくなったが、
80〜90年代は週刊少年誌青年誌は相当数購読しており、その中でもエース的存在だったのが
週刊少年ジャンプでした。
しかし、売りの王道バトルものはそれほどはまることはなく、一般的に人気作品である
「ドラゴンボール」、「聖闘士星矢」、「ONE PIECE」、「NARUTO -ナルト-」、
「BLEACH」などもまあまあぐらいの感覚。
この辺は自分の年齢的なものと、ひねくれた性格が起因しているのかなと思ったり。
それは購読を止めてから連載され、アニメ化された作品に対しても同様な感じで、
「ワールドトリガー」、「僕のヒーローアカデミア」、「ブラッククローバー」等も
数話観てさよならでした。
と言うわけで、「本作もそうなるだろう」と思っていたら、これがめちゃくちゃ面白かった。
展開や設定はいかにも王道な感じで、それほど凝ったものではないゆえに自分でも
不思議でしたが。
このレビューの大半はテレビ放映後の2019年に書いたものですが、その後の社会現象と
言えるぐらいの人気の爆発ぶりには驚きの感がある。
改めて観てみると作風、画風、主人公のキャラ設定などは老若男女に好まれそうな感じで、
その辺が大人気を得た要因の一つと言えそう。
とは言え、その作風とは裏腹に残酷な描写は多々だし、往年の少年漫画なら助かりそうな
ところがそうならない救いのない展開だったりとなかなかシビアな世界観だったりする。
面白く感じた理由はまずキャラが魅力的だったことが大きかったのかなと。
キャラの特徴などもストーリー同様オリジナリティ溢れるものというわけでもなく、類型的
パターンの範疇だとは思うんだけど、パターン内の細かい調整が絶妙みたいな感じで、主人公の
竈門 炭治郎を始め、魅力的なキャラが多々。
内面的なパーソナリティーだけでなく、キャラデザインもなかなか良く、大正時代ゆえの
和洋折衷感に加え、現代の漫画原作ゆえの現代的モダン要素もうまいこと加味されている感じ。
キャラが良いと話は平凡でも面白くなることは多いと思うが、本作もそれが該当するのかなと。
キャラの魅力の支える要素として大きく感じられたのが家族愛で、これが本作の結構大きな
テーマになっているように思えた。炭治郎の禰豆子へのそれは代表的なものだが、胡蝶 しのぶの
姉カナエへの思い、あと血縁関係はなくとも鱗滝 左近次と弟子との関係性や、我妻 善逸と
桑島 慈悟郎の師弟の関係性など。
鬼側も累に代表されるように家族が一種のキーワードになっているエピソードが幾つか
見受けられたり。
あと、この辺は個人的好みかもしれないがシリアスとコメディのバランス、要するに緩急の
付け方が非常に良かった。
シリアスな戦闘シーンにコメディ要素は挟むようなことはないが、禰豆子と朱紗丸の手毬の
投げ合い蹴り合いの展開や、嘴平 伊之助の登場時の屋敷での女の子を踏んづけてしまった
くだりなど、意図してかどうかは判らぬがシュールな笑いとも取れそうな要素が戦闘シーンに
顔を出してくるのが個人的には面白かった。
まあ伊之助の踏んづけに関しては笑いだけでなく感じ悪いものでもあり、その後の禰豆子の
箱や善逸への対応と言い、登場時はかなり感じ悪いキャラとして描かれている。
その分、雨の日の捨て犬を助ける不良少年ではないがw、後の展開で好感度を
上げやすくなっているキャラという印象。
加えて単純にアニメ作品としての出来が非常に良かったことも大きかったかな。
作画は特に観るべきものがあったが、他にも演出、演技、音楽なども凄く良かった。
このアニメとしての良さとキャラの魅力が見事に噛み合った最高到達点が19話だったのかなと
いう気がする。
もっとも次の20話は、実は累が自ら首を切っていたため死んでおらず、後から来た
冨岡 義勇にやられてしまうという、19話の感動に水を差すような展開で、「あらら」と
いう感じ。
まあよく言えば十二鬼月の強さを改めて見せてくれる流れではあるとも言えそう。
尺調整により、間延びして感じられたり、キャラの行動をおかしなものに感じられた部分も
あったんだけど、原作から多くをカットしてはしょっていくよりは全然いいかな。
キャスティングは結構豪華な印象で、レギュラーキャラはともかく、それほど重要でもない
役でも結構有名声優を起用していたりする。
今の人気ならともかく、そうなる前のキャスティングだから、制作当時は結構張り込んだなと。
2019/10/06
2023/11/23 加筆・修正