Jun さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
多摩の歴史(コメディのようで実は悲劇)
開発って、動物にとっては戦争なんだ。タヌキと人間の戦争。
武闘派は抹殺され、現実から逃避するものは無為のまま終わり、和平派は取り込まれて種としてのアイデンティティを失う。最後のシーン、人間の残飯をあさりゴルフ場でたむろして幕を下ろす。終始コメディタッチだが見ていて痛い。
ラピュタの秘宝もなくナウシカもいない、このタヌキたちには滅びしかない。
50年前に人間はタヌキに勝った。そして今、この開発の未来に起きた一極集中、エネルギー問題と地球温暖化問題を、人間の誰がどんなふうに解決してくれるのか物語は提示できない。
タヌキの滅亡を人間社会の悲喜劇に見立てた、可能性のあった作品だと思う。ただ風刺も弱く、将来のヴィジョンも示せなかったのは残念。