かがみ さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
現代アニメーションの総決算
新房昭之氏、虚淵玄氏、蒼樹うめ氏を中心にシャフト、梶浦由記氏、劇団イヌカレーといった多様な才能のコラボレーションが産み出した奇跡の交響曲にして現代アニメーションの総決算。本作は「魔法少女という構造」を「ループ構造」「バトルロワイヤル構造」といった、いわば「ゼロ年代サブカルチャーの文法」で捉え直した試みであるという事も出来る。
本作において示されるのは、もはや魔法少女が万能の願望器でもなんでもなく、少女達の「願い」がただただシステムを稼働させるための動力源として搾取されていく世界観であり、それはまさしく、グローバル化とネットワーク化がますます加速する中、アーキテクチャによる環境管理型権力の統制のもとで人間がモルモットのように飼い慣らされる現代社会の構造それ自体の鏡像でもある。
こうした現代を生きる我々にとって「まどかの願い」は希望の在り処さえも照らし出す。すなわち「構造」の外部に超越性を見出すのではなく、むしろこうした構造を逆手に取り、構造の「内部」の中で、いかにして主体的欲望を奪還し、多くの瑞やかな歓びを汲み出しつつ、構造のルールそのものを書き換えていくか。いま問われているのはおそらく、そんな生き方なのであろう。