ウェスタンガール さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
監督が夢見た世界
綿密なロケハンを経て、『時告げ砦』と谷間の村が異常な執念と共に再現されている。
後で知ったのだが、ここは、スペインのユネスコ世界遺産、クエンカという街だそうだ。
監督の趣味であろうクリムトの世界に裏打ちされた“炎の乙女”の伝承と祭が話の根底に流れる。
これは、ファンタジー小説のお約束だ。作者は如何にしてその世界にリアリティを持たせるかに腐心する。
そう、多くのページを衣食住を以て住人の生活、人となりや文化、それらを取り巻く自然や空気感を描こうとするのである。
そして、その通過儀礼をくぐり抜けて初めて本編に立ち入ることが許される。
後は、それぞれの登場人物のエピソードを楽しめばよい。
外の世界と繋がる伝令クラウスとクレハの物語。
同じく電話はクライマックスへの起点となる重要なアイテムだ。
そして、あのエピソードの緊張感と言ったら半端ない!
イカちゃんが流れ星になった時、多くの視聴者が感じたカタルシスは想像に難くない。
周辺部への偵察訓練、ノエル、ハイデマンのエピソードを経て、ラストへと一気呵成に進んでゆく。
不思議な余韻の残る。
良質な連作短編を読んだ気持ちに包まれる作品だ。