たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
京アニの「本気」
まず一言で、これは非常に懐かしいやはり70年代の「少女漫画」風味の異世界アニメです。
非常に、萩尾望都さんや竹宮惠子さんの短編漫画に出てきそうな構成であり、明らかに叙情的で泣かせに来ていますが、今回ばかりは僕も「うるっと」してしまいました。
内容はすごくシンプルで力強く、昔の「世界名作劇場」を京都アニメーションがアニメ化しました。と言えばよいでしょうか。
「貧困」や「絆」や「愛」しかもおそらくテーマは「母性」だと思うので、女性にアピールしていることに間違いはないでしょう。
作画も、あの凄惨な事件が嘘のように丁寧で繊細。「少女漫画」特有の美しい背景も相まって非常に心が動きます。
京都アニメーションの本気を見ました。
さて、僕はここで「ヴァイオレットエヴァーガーデン」よ「この素晴らしい世界に祝福を」の2本を見させていただいたのですが、総評としてはどちらも80年代回帰という感じで、ある一定層の客層に向けて作っているアニメだと思いました。どちらも非常に「ニッチ」であり、良い意味で「突き詰めている」し、悪い意味で従来と変わらないいやむしろ「80年代回帰」だと思いました。
80年代といえば、アニメブームが最も燃え上がった時代でもあります。とくにOVAというジャンルはTVアニメでは普段できないような「セクシャル」で「ヴァイオレンス」な内容が描けるということで一大ブームにもなりました。
しかし、今は2019年。年号も変わりインターネットでアニメを視聴する時代になってからは、表現する側も多様になってはいるものの、今のままでは昔と変わらない「ニッチ」なアニメオタク向けの作品が増えるだけです。
しかし、もともと海外のネットフリックスやアマゾンプライムなどで配信されているドラマは非常に大人向けで哲学的。難解な内容が増えたと思います。しかし、その都度視聴者は増えて、「ゲームオブスローンズ」や「ザ ボーイズ」「ウォーキングデッド」などのヴァイオレンスやセクシャルな中に人間の本質を描くような作品がある中で、京都アニメーションが「本気」を出したであろう「ヴァイオレットエヴァーガーデン」をもってしても少し物足りなさがの残ります。
特に、舞台である19世紀のイギリスは児童買春、伝染病公害問題、マフィアと政治家による汚職などにより、非常に陰鬱な時代だった事を踏まえるとまたもや「小奇麗」に描きすぎている気がします。
別に性的表現やヴァイオレンスを入れれば良いというのではなく、そういった歴史的事実も入れるともっと物語に深みが出てくると思うので、今後の課題はどうやって「海外に対抗するか」が重要になると思います。