STONE さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
日常系ギャグコメディものとストーリーものがうまく両立された作品
原作は未読。
きらら系の中ではギャグ色が強い感じで、ハイテンポでネタがドンドン放り込まれていく感じ。
単にハイテンポなだけだとせわしなくなることもあるが、本作は作品が持つリズム感に心地良さを
感じる。この辺は監督である桜井 弘明の上手さかなと思ったり。
ネタ自体もかなり面白く感じたが、この辺は独特のワードセンスが大きかったように思える。
これはキャラの話す言葉は勿論、情景内の張り紙などの文字情報もそんな感じ。
きらら系はキャラ萌えやコメディを重視したあまり変化のない日常を描いたものと、
ストーリー性の強いものがあるが、本作は前者寄りかと思いきや、実はストーリー性が強いと
いう、きらら系の中でもこれまでにない作りの作品だった。
回を追うごとにストーリー性が色濃くなってくると同時に、これまでの何気ない描写などが実は
伏線であることが分かるが、思っていた以上に巧妙に作り込まれた作品という印象。
コメディ系作品だと、設定自体は適当であることが多かったりするが(それ自体は悪いことでは
ないと思うけど)、本作はそういった部分も明確な理由付けがあったりするのが面白い。
終盤になると結構重たい設定が顔を出してくるが、作品自体のテイストや主人公である
シャミ子こと吉田 優子の前向きさがシリアス性を緩和しているようで、作品自体は終始楽しい
雰囲気を残したまま。
キャラに関しては脇役も含めて魅力的なキャラ多々だったけど、やはりシャミ子と千代田 桃と
いう中心の二人が特に印象深い。
シャミ子に関しては喜怒哀楽の感情表現の豊かなところが魅力的で、妙に言葉遣いが丁寧
だったり、貧しいがゆえに大したことない食べ物でも美味しそうに食べるところなども
可愛らしい。
一方、桃の方は内心はともかく表面上の感情表現は苦手なようで終始淡々としており、
シャミ子との対比振りが面白い。
この二人の中の人であるシャミ子役の小原 好美と桃役の鬼頭 明里の両名は他作品でも
あちこちで良い演技をしている感があり、個人的にも好きな声優さんだったりするけど、
小原 好美が彼女のらしさを活かした役どころであったのに対して、鬼頭 明里は彼女の
ベーシックな演技とはまた違った感じであるのが面白かった。
ナレーションだと思っていた声が、最後の最後でシャミ子の父のヨシュアによるシャミ子への
語りかけであることが分かるが、面白い仕掛けであると共にヨシュアの娘への愛も感じられて、
ちょっとした感動も。
2019/09/30
2024/04/06 加筆・修正