たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
日本の「組織」の縮図
海外と違って、パトレイバーは日本の「組織」の縮図として非常に良く理解できるようになっている。
要は完全なる「縦社会」である。
職場における「セクハラ」だとか「パワハラ」は日本の方が圧倒的に多い。なぜならば、基本的に日本は年功序列型の縦社会であり、国家⇒法律⇒警察庁⇒警視庁⇒自治体と、こんなにも一直線な組織図は海外では例を見ない。
警察組織という概念を作ったイギリスやアメリカでは、基本理念に「郡の秩序はその土地の人間が行うべきである。」という考え方があるので、州や各自治体によって法律があり、民選による「保安官」が地域単位で秩序を保っている。アメリカのカウボーイやスーパーヒーローは基本的にはその「土地」の自治を任された「保安官」であり、元々はイギリスの警察組織を真似たものらしいが、アメリカ人ほど自分たちの「地域」や「自治」を重要視している国はない。なので、政府をいつでも転覆できるように「銃」は国民が持つ権利があるとされている。
しかし、こと日本では「憲法」と「法律」の下には「警察組織」しかない。完全に「お上」任せであり、江戸時代の頃から日本人は「大岡裁き」のように、何か問題があると「お上」を頼る癖があり、自分たちでどうしようかと考えたりすることがない「空気」なのである。
押井守の「機動警察パトレイバー」では、そんな日本の古くから存在する「縦割り行政」を批判しているが、いつでも苦労するのは現場の人間であることにほかならない。