退会済のユーザー さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
二度と戻れない青かったあの時を思い出す
文学に勤しむ純潔な女子生徒たちが見せ付ける、瑞々しい性描写。
成長と共に増していく性への葛藤や抑えきれぬ好奇心。出会う出来事
ひとつひとつに性を絡めて荒ぶり、止まらぬ列車に飛び乗る少女たち。
そして男性もまた彼女たちと同じように、性の目覚めにもがき苦しむ。
今まで気にもしなかった親の性に気付き、自身の身体を見つめ直して
は心がざわめく。そして想いを寄せる人の気持ちを確かめたいと悩み、
カオスな妄想に悶え苦しんでは、偏に自身に足りないものに焦り狂う。
純粋だからこそ性と恋愛の結びつきを懸命に悩み、やがて恋の本質を
理解する。例えそれが身近な存在であったり、同性や年上、友を邪魔
する歪む恋だったとしても、それがそれぞれが辿りついた思いの結果。
それが正しいかどうか抑えつけることより、理解しようと一つ一つ歩
み寄り、その結果生まれる関係性をどう感じるかがとても大切なこと。
本来、綺麗に描かれがちな恋愛と、排除されがちな性描写は切り離せ
るものではない。『荒ぶる季節の乙女どもよ』。どちらも大切に描き、
感性が固定化した自分に、改めてそのことを思い出させてくれた作品。
いつしか性に振り回された『荒ぶる季節』を懐かしんでは、なんと滑
稽で馬鹿げていたことかと今は微笑み楽しむ自分がいる。
再びトンネルに向かう二人が乗った通学列車。いくつかの暗闇を通り
抜け、苦悩と言う名の駅の先にきっとある、純白な心の駅に辿り着く。
変わらぬ清らかな気持ちを持ち続ける限り、いつの日か自分色に描き
彩り、互いの心に焼き付けるのかも知れない。