ツークツワンク さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
絶妙なバランス調整
うじうじ系メガネキャラの天才主人公が過去のトラウマを乗り越えて覚醒する、という話は多かれ少なかれアンチを産みだすことが多いんだけどこの作品は主人公のいじめ方が上手い
余命短い母親に徹底的なスパルタ教育と虐待を受ければそりゃそうなるよと
多くの作品みたいにひよらず、杖で殴るシーン加えるとかもう情け容赦というものがない
それでいて母親にヘイトが溜まるかと言えば、溜まるには溜まるんだけど余命の短さから来る焦燥感といった動機があるのでそのバランス調整も絶妙
この前提があるからこそ天才である有馬公生が中心となって物語を進めても嫌味な感じが全然しないし、むしろトラウマとその並々ならぬ努力に感心してしまうほど
公生のトラウマと、かをりの病気という負の要素によって一歩間違えれば作品全体が悲壮感漂うものになりそうなんだけど、登場人物全員が清々しいほどの善人キャラで、嫌味なキャラを配置しないというのも良く考えられている
かをりの嘘については賛否両論あるのだけれど、椿の告白の後押しや、渡も色んな女の子を傷つけて回っているという理由づけがきちんとされているのも非常に良い
各季節の風景やかをりの病院の色彩、三角関係で揺れ動く丁寧な心情描写の恋愛シーンに加えて、クラシックだというのに熱すぎるほどの音楽シーン
全ての要素が一級品で噛みあっている
あえて、残念だなと思うところを挙げると最終話がお葬式みたいなEDじゃなくて明るい前期OPで締めて欲しかったかもしれないが、何かアニメを勧めるならこれを最初に挙げたくなるほどの良作