101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
教え授けることで得られる物の大きさ
私はTVアニメでは折り合いに苦しんだ方でしたが、
それが嘘のように本作では引き込まれ感動できました♪
原作小説外伝のエピソード一編をジックリ掘り下げた構成も然る事ながら、
今回感じたのは映画館ってやっぱり物語世界に没入できる素晴らしい空間だな~と言うこと。
私は公開一週目に『響け!ユーフォニアム』聖地巡礼の帰りに
京都MOVIXにて劇場鑑賞しましたが、
私の地元の映画館よりは設備も充実していたのでしょう。
例えば{netabare}ヴァイオレットにテイラーへ文字を教え、心を伝えよと促すように、
煌めく少佐のブローチ{/netabare}とか、
TVアニメ視聴時の集中力では見えていなかったであろう、
文学的、絵画的な作画表現まで、今回はハッキリと見え、心を揺さぶられました。
さらに音響構成に関しても、今回は私の心にフィットしました。
朝の小鳥の囀(さえず)りや、ランプが熱で軋む音など、
微細な効果音まで良く聞こえ、臨場感がアップしました。
ただ、私の記憶が確かなら、TVアニメ版でもランプの軋む音なんかは
鳴っていた気もするんですよね……。
どうやら私はTVアニメ版で見落としている物だけでなく、
聞き逃している音も相当あるようですw
TVアニメ版の音響については、BGMやED主題歌がうるさすぎるのでは?
との感想も散見され、私も首肯する部分があったのですが、
今回はこれまで聞こえていなかった音まで拾えていたからなのか、
大音量上等の映画館だったからなのか、
効果音やBGMの強弱にメリハリがある、納得できる音響構成に感じました。
シナリオ全編を通じて、知識や心を伝える事で、教えられた者が救われるだけじゃなく、
教え伝えた側にもかけがえのない縁や、心の成長と救済がある。
という温かい連鎖に胸を打たれました。
特に{netabare}ヴァイオレットがイザベラの教育係を終えた後、
将来も含む、料金の受け取りを辞退したやり取りから、
プライスレスな心と友情の温もりを得たと言う、確かな手応えを感じた{/netabare}シーン。
大体、私のように自己責任やら何やらで心に火傷を負った人間は、
俺の知識や経験は私有財産。提供は金や地位と引き換え。
などとウジが沸いたような浅ましい邪念に取り憑かれており、
チョットやちょっとの説教では心が動かないのですが、
そのシーンとこの後、巡り巡って来た縁を観て、
私も流石に考え方を改めなければならないと思い直しました。
物語後半では、鋭意制作中の完全新作劇場版に向けて、
戦後、社会が激変し、手紙の存在意義も薄れて行く中でも、
消えない想いがある……。
と言う、アニメ版のフィナーレを見越した構想の一端も披露され、
今後に期待が膨らみます。
当初、今週までの限定公開予定だった本作ですが、
好評につき、四週目以降も引き続き上映するとのこと。
未見の方にも是非、できるだけ設備の整った劇場で鑑賞して欲しい。
本年度屈指の感動作です♪