かがみ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ゼロ年代の到達点
本作の凄みは何気にゼロ年代における「セカイ系」から「決断主義」に至る総括を行っている点にある。
芽衣子を成仏させず独占し続けたい宿海の欲望はセカイ系主人公のメンタリティそのものであり、他方でそれぞれの打算とエゴイズムから「めんまの成仏」を企てる他の超平和バスターズ達の欲望は、いわば決断主義者達のそれに他ならない。
つまり、芽衣子亡き後をめぐる各人のスタンスの対立という本作の構図はまさしく「大きな物語」亡き後をめぐる「小さな物語」同士の対立というゼロ年代的ポストモダン状況とパラレルな関係で捉えることができる。
そして、本作は同時にゼロ年代の想像力の「その先」をも示す。バラバラに寸断されたものをつなぎあわせる「きずな」を紡ぐ力。そんな力を人は「愛」と呼ぶ。ジャック・ラカンは「愛は常に持っていないものを与えるものである」と言う。そういう意味で本作はポスト・ゼロ年代における「愛の物語」である。