yuugetu さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
悪くはないけどマーリアが煮え切らない所にちょっとモヤっとしてしまった
2019年秋アニメ。分割2クールの後半です。
今期、私の視聴環境では他のアニメと被ってしまい録画できなかったため、ニコニコ動画で一周したのみの簡単な感想です。ご了承ください。
2クール目の方がストーリーの流れは解りやすくなっています。
良いと思った所はそれほど変わりませんでしたが、だからこそモヤモヤする所が目立ってしまいました。
【良かった所】
{netabare}偉大な荒神を在るべき姿に返す展開は好きでした。原始的な信仰と中世的なオカルト、近代的な社会背景を全て繋げて描いたのは良かったと思います。世界観がもっとしっかり語れる小説の方が向いているかも知れないですね。
ヴェロニカが復讐から脱却できたのも良かったです。
自分が幸いをもたらす存在だと言われ続けたことがヴェロニカの拠り所にもなっていたのかなと。「幸いの子」という言葉はヴェロニカにとって「呪い」でもあったのではないでしょうか。レイ・ドーンを許したわけではないのでしょうが、精神的に前に進めるようになったのは良かったです。
喪失感と憎悪を埋められないウルフランとの絡みがもっとあっても良かったんじゃないかなあ。
レイ・ドーンがマーリヤとヴェロニカに謝罪したのは、私は良かったと思う。二人に敗北したことで自分の老いを自覚し、まだ若い二人には前向きに生きて欲しいと願っての行為だったと解釈しています。軍事利用されないために故郷を焼いたこと自体を間違っていたと考えてはいないと思います。
{/netabare}
【個人的に引っ掛かった所】
以下辛口気味になっていますので、好きな方は読まないでくださいね。
{netabare}
キャラクターに注目するパートが多くなったのは良かったのですが、描かれるのがマーリヤの視点ばかりで…。
ヴェロニカとウルフランの側がもっと見たかったです。二人の心理の変化についても理解はできるけど描写不足の印象が拭えませんでしたし…。
良いサブキャラが多かったので、キャラクター数ももう少し少なくして登場シーンを増やして欲しかったです。
私にとって致命的だったのが、主人公にイマイチ感情移入できなかった点でした。
マーリヤはヴェロニカが一番大切で行動原理であること自体は良かったと思います。
ただ、マーリヤは野良の妖精持ちは逮捕されてしまうのでドロテアの一員にならざるを得なかった。そのせいで軍人に近い立場のマーリヤが犯罪者である幼馴染を見逃すような展開が出てきてしまう。それがどうにも苦手でした。
マーリヤが特にきっかけも描かれていないのにドロテアの同僚たちに愛されているのも、私には主人公補正に見えてしまいました。
マーリヤがヴェロニカを逃がしたことを、フリーが上官に報告しないのもちょっと…。フリー自身がマーリヤの目的を理解した上でスカウトしているので仕方ないんですけど、それがドロテアの中で問題にならないのは…。
マーリヤの本当の目的をドロテアの仲間と共有する展開が個人的には望ましかったです。マーリヤが妖精憑きだったから結果的にドロテアにとっては良かったのかもしれませんが、見様によっては獅子身中の虫と思われても仕方ないんじゃないかと。
{/netabare}
物語やラストは好きだったので、主人公に勿体なさが目立った作品でした。
(2020.1.2)