STONE さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
真に恐ろしきは人の心
原作は未読。
第一次世界大戦後のイギリスが舞台の作品。時代がほぼ同じで、共に
ヨーロッパが舞台、更に冒頭は沢山の本に囲まれた不思議な少女と主人公が出会う
という点で、「GOSICK」と似た印象。
ただ、「GOSICK」の方はオカルトという言葉を散りばめながらも、真相は人為
的なトリックばかりで、超常現象的なものが皆無だったの対して、こちらは幻書を
巡る幻想譚で、内容が大きく異なる。
基本、一つの事件を1話で解決していく形で、個人的に怪奇幻想譚的な話が
好きなこともあって、各話単体としてのストーリーは割と良くできた印象。
更に時代設定のせいもあってか、ゴシックホラー的な味わいもあり、雰囲気も
なかなかいい。
事象自体こそ幻書が起こす摩訶不思議なものだが、その原因となるものは人の
心が生んだもので、本当に怖いのは幻書より、それを扱う人間といった印象。
幻書は回収しても、人の心は早々変えられない。そういった意味で、いい意味で
後味の悪さが残る話が多かった。
ただ1クールを一つのストーリーとして見ると、今一つピリッとしない印象。
ヒューイが幻書探しを始めるのは自身の過去に起因しているようだが、初回と
最終回で曖昧なままで描かれるのみで、中盤においてはまったく触れられて
いなかったため、どうも退役軍人の貴族が暇つぶしでやっているようにしか
見えなかった。それなりに危険を伴う作業であるため、それなりの明確な信念
めいたものを描いてほしかった。
シリーズ構成も変で、ヒューイ&ダリアン組のライバル的立ち位置になりそうな
ハル&フランベルジュ組や教授&ラジエル組が中盤に唐突に登場して、一話丸々
使ったかと思うと、その後はまったくご無沙汰なしで、終盤になってまた唐突に
登場。もうちょっと絡み方に工夫が欲しかったような。
一話完結モノとして割り切って見る場合、ストーリー以上にメインキャラの
魅力が大事に思える。
その点、ダリアンは容姿、言動、性格などは個性的。ヒューイの方も、
個人的にはもう少し何らかのクセが欲しかったが、決して悪くはない。
ただ、こういうコンビものの場合、もっと二人の絆のようなものを描いて
ほしかったかな。最初はあまり強くない絆だったとしても、回を追うごとに事件を
通じて、絆が強くなっていく過程を描いてもいいし。