けいすけ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:----
面白いが綺麗に纏めすぎ
タイムリープ物で、直近の過去・遠い過去に救えなかった人達を救う為に主人公が過去のある一点にタイムリープし、過去に救えなかった印象に残る少女、雛月加代を中心とした一連の事件、そして現代の主人公までも蝕むその元凶を彼女の命を救う過程で暴いていきます
ストーリーが練られていてとても楽しめたのですが、この作品の問題といえば個人的には加代をヒロインとして描きすぎた事ですね
原作にあるアイリの掘り下げを大幅カットし加代編に重く比重を置いたため、視聴者目線だとどうしてもヒロイン=加代となります。主人公は29歳だから加代を女性として見ないという意見もよく見ますが、それにしてはやたら主人公がドキドキしすぎなんです。これだけ詰め込んだ中で、少年少女の淡い恋愛物としても見れるぐらいこの部分も完成されてると思います。印象的なセリフと共に訪れる別れのシーンもまさしくヒロインのそれです。このシーン自体は絶対必要なものなんですが、あくまで友情を印象付ける為にもまぎらわしい主人公の反応は必要なかったでしょう
漫画版では中学か高校時代母親から諭されるまで熱心に寝たきりの悟のもとに通う話があり、彼への想いは自分の為に寝たきりにさせてしまった罪悪感だけではなく、恋心を感じさせるものでした
加代をそこまでしっかり描いているからこそ、悟が目を覚ました後精神がまだ安定してないのに子供を連れてきたり会話は適当なものだったりと、ええ…と視聴者側に違和感が生じます。昨今の虐待事件を見れば断片的にでも分かりますが、虐待を受けている環境は恐ろしいものです。加代は学校でも臭いと言われいじめられて居場所がありませんでした。そこから連れ出してくれて自分でヒーローと呼んだ少年、かつて恋心を抱いていた少年との再会は1対1でゆっくりと語り合うものではないでしょうか。こんなあっさりって、そんなのありますかという感想でした
本来失われていた二つの命、広美と加代が結ばれて新たな命が生まれる。ここを綺麗とする人もいますが、個人的には綺麗すぎて作り物感が強くなってしまっていると感じます。年齢を考えれば加代が結婚しているのは仕方のない事だと思います。ですがやはり綺麗に纏めすぎという所と前述のヒロイン=加代の印象付けや再会シーンの適当っぷりと相まって、視聴者側は特に印象の残らない仲間キャラにヒロインを寝取られた…という気持ちにさせられます。きっと、相手が見知らぬ誰かであり再会シーンが内容のあるものならそうはならないと思うんです。アイリの掘り下げも含め、キャラの関係性の残念な点でした。アニメ版の真ヒロインはお母さん説あります
あとはよく言われる犯人がすぐ分かる点と犯人の背景の描写不足。シリアルキラーとしての魅力に欠ける印象でした。あとラストの悟と犯人の対峙ですね。犯人の行動次第で悟死んでましたし、あんたら悟を大切にしたいのかしたくないのかどっちなんだよ…と思いました。全体を通して悟は聖人ですね本当…
色々言いましたが、魅力的な作品である事は間違いないです。過去の加代編だけでも見る価値は十分にあると思います