二足歩行したくない さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
少年たちのヴェールが脱がされてゆき、逸る気持ちが抑えられない
ノイタミナ枠。幾原邦彦監督作品で、『輪るピングドラム』同様、比喩と過多な演出、歌とダンスと、結局の所どういうことなのか誰か教えてくれと言わせんばかりに意味のわからないシナリオがふんだんに使われた作品です。
主人公は3人の少年たちで、突然現れた謎のカッパ「ケッピ」に、強引に尻子玉を抜かれてしまい、カッパになってしまう。
もとに戻りたければカパゾンビの尻子玉を抜く必要があり、見事、カパゾンビを見つけ出して尻子玉を抜いた三人はご褒美として願いの叶う希望の皿を与えられる。
だが、皿は五枚集めなければ願いは叶えられない。
3人はそれぞれの思惑のためにカパゾンビから尻子玉をかっぱらうというストーリー。
なぜ尻子玉を抜かれるとカッパになるのか、カパゾンビとは何か、そもそも人語を操るこの「ケッピ」という生命体は何なのか、なぜこのアニメのキャラクターは皆、示し合わせたように歌って踊れるのかなどなど、作中説明は無く、ありのままを受け入れる方が楽しめる作品です。
キャッチーな作風の割には、殺し、麻薬、裏社会、女装、ゲイ、ハードコアなど、ハードなテーマを扱っています。
序盤はこのカッパになる3人の男の子の決して漏らせない秘密が、さらざんまい (カパゾンビから抜いた尻子玉をケッピに転送するために行う3人の感覚共有の儀式。何故か全裸で決めポーズを取る必要がある) により詳らかになります。
そのため、序盤は結構ドロドロした展開が多く、意味はわからないが中毒性があり、続きが気になる内容でした。
玲央と真武という謎の警官二人組が、カパゾンビの素質のある人物から欲望を搾取してカパゾンビを生み出しているのですが、欲望搾取のシーンが二人の警官による歌とダンスになっていて、欲望搾取とさらざんまいの2つの長いバンクシステムが、特に序盤は毎話のように使われています。
最初は使い回される演出に手抜き感があったのですが、やがてそれが癖になり、バンクが無い回の方が物足りない気持ちになりました。
序盤はバンクが多い分、ストーリーが薄くなりそうですが、毎話少しずつ主人公たちの秘め事がおおっぴらになる展開に逸る気持ちが抑えられませんでした。
女子がほとんど出てこないアニメなのに、この気持ちになんて名前をつけようか。
一方で後半は序盤漏洩した事実はあまり重要視されず、3人の絆はサッカーなどで繋がれ、罪は償われる、どちらかというと爽やかな展開となったのは残念です。
カパゾンビになった人々への救済もなく、回想シーンが妙に多くなり、序盤はそれでもキャッチーなバンクと少年たちの脱がされていくヴェールに夢中になれたのですが、終盤は失速を感じました。
個人的にはむしろ説明は不十分のまま、わけがわからないまま勢いで最後まで行って欲しかったなと思いました。