みしま さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
高評価の条件は備えているのに惜しい作品
作画と動画は素晴らしい。背景もじっくり見入るに値する。なのに途中で飽きてきた。なぜだろう。
設定はとても良い。止界術とカヌリニと言う不可解な存在の謎が少しずつ解けていく、その流れも悪くは無い。主人公たちは殺人に全く抵抗のないカルト教団に追われ、自らが持つ特殊能力によって、幾度もピンチをくぐり抜ける。その工夫と登場人物の判断も、その一つ一つが面白い。
問題なのは…
①世界そのものを根本的に変容させるような大設定でありながら、主人公たちを取り巻く、ごく狭い関係性で閉じさせていること。
②物語の展開につれて謎がひもとかれるという、うまい構成なのに納得感が生じないこと。そのわけは「謎を謎で説明」しているからである。この物語は、終始その調子で「謎を解明」し、次々と新たな謎を持ち出してくる。これでは地に足がつかない。
③主人公たちを狙うカルトの面々は、淡々と殺人を犯すような連中で、仲間の死にも冷淡である。そのエグさは、この物語が予定調和的な落としどころを持たないことを予感させ、ときに観る者の期待を高める。だが、この面でも消化不良。それは、感情移入できるキャラクターが居ないからである。どんなに特異な性格付けの人物ばかり集まる世界観であろうと、ごく普通の人が共感できるキャラクターを配置する必要があるのだ。つまり、観る者を普通の感覚に引き戻してくれる存在である。そのお陰で、物語と向き合うバランスが取れる。そういう存在なしに物語が進行すると、次第に世界観の重みが蓄積してダレてくる。なお、本作のヒロインでは、その任に堪えない。
④物語のトーンが一貫して重くシリアスな中、唐突にオヤジ臭いクスグリを入れてくる。それが丸スベりしてイタい。
本当ならもっと高評価を得られたであろうに、根本的な所でイマイチの評価を下さざるを得ない。