退会済のユーザー さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
そして未来の為、今を生き抜く。
原作:川口雅幸 氏 音楽:松任谷正隆 氏(歌:ユーミン)
監督は劇場ONE PIECE作品を数多く手掛ける宇田鋼之介氏が
務めた長編アニメ。
{netabare}
ある夏休みの始り、今は亡き父との思い出の地に一人遊びに
来たユウタ。大樹の根元で身体を癒す『蛍じい』と呼ばれる
老人との出会いを切っ掛けに、父が亡くなった時のこの地へ
と送られてしまう。夏休みが終わるその日まで。
そこで出逢う幼い少女さえ子とケンゾーとの一夏の想い出。
ケンゾーに教えてもらった大好きな虫取り。あの時交わした
父との会話を思い出すユウタ。そして同じ屋根の下で過ごし、
妹の様に思うさえ子たちとの楽しくも切ない夏休み。
あの日、不慮の事故によって亡くなったユウタの父と、蛍を
見る為偶然その場所へ居合わせ巻き込まれたさえ子と兄。幸
いにも生き残ったさえ子は、兄の元へ行きたいと、現実世界
で今も生死を彷徨い続けている。
父との思い出がユウタをこの地へと招き入れ、運命の少女と
出逢った。過去に縛られ苦しみ続ける彼女を救うために。
最後の祭りの日の夜、「生き続けて」とさえ子を願い励まし、
またいつかこの場所で「蛍を見よう」と約束するユウタ。
時が過ぎ、父と同じバイク乗りになったユウタ。何かを感じ
た彼はこの街のイベントで再びさえ子と出逢う。あの『蛍』
の仕業によって。そして蛍の光に触れた瞬間あの日の記憶が
蘇り、二人の約束が叶う物語。
{/netabare}
一見ご都合主義とも言われる出逢いや背景も、その必然性を
理解した瞬間、何故か切なさに引き込まれていく作品。
そして、さえ子役を演じた木村彩由実さん。非常にリアルな
幼さと豊かな感情表現は、とても初演とは思えないほど。
陽の明るさと影を強調するまるで抽象的な風景。賛否が多い
独特過ぎる手抜きの様な人物描写。
崩壊と言われるその作画も、子供らしいひ弱さと躍動的な動
きを時に感じられ、感動的なストーリーも相まり、良い意味
で印象に残る非常に芸術的な作品だったと思いました。