shino さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
月は無慈悲な夜の女王
奈須きのこ原案、
虚淵玄/TYPE-MOON原作、
ufotable制作。
断片的に語られるのみだった、
10年前の「第四次聖杯戦争」の真実。
士郎の養父である切嗣の死を賭した戦いの軌跡。
練り上げられた物語設定の勝利だ。
{netabare}これは勝者なき鬱アニメである。{/netabare}
シンプルですが隙のない構成だと思う。
シリーズが総じて問う、
正義の在り方は、ここでも健在で、
功利主義的な正義を主人公に体現させる、
その行動原理は幸福の最大化にあるのです。
{netabare}10を救うために1を捨てる、
道徳や共通善からは悪でもある主人公に、
私たちもまた、正義を問われ続ける。{/netabare}
何て疲れるアニメなのでしょう。
{netabare}人間の本質は石器時代から、
一歩も進んでいないとは切嗣の言葉である。{/netabare}
そんな中にあって若き日の、
エルメロイII世と征服王は癒しだ。
征服王もまた強烈なエゴイストですが、
コミックリリーフ的な設定で物語が弛む。
人気があるのがわかるキャラでした。
人の業を愛でる、
他者の辛苦とは愉悦である。
焼け落ちた瓦礫の中に救済があったと信じたい。