必死の羊 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
死んでるのに戦う世界
唐突な展開で幕を開け、視聴者も主人公同様、世界観が掴めないまま物語はスタートする。しかし、物語が進んですぐ気付ことだが、誰もこの世界のことを詳しく知っておらず、仮説しかない。つまり、世界観を説明してくれる人がいない。何でも説明をしてくれる最近のアニメとは違い、「こういうことではないか」と考察する楽しみがある10年代ならではのアニメだ。
登場人物の重い過去と対照的に、ギャグパートが多く、会話のテンポは非常にいい。まず、キャラが個性的で魅力的。青春を送れなかった若者が、失った青春を、本人はそうとも思わず、もう一度送っている最中だと思うと、もう…。その分、他の戦線メンバーの過去や卒業も見たかったのも事実。ただ、分からなかったからこそ、最終話放送終了後、このキャラはこんな過去を持ってるんじゃないかと考察が盛んに行われたのはいい思い出。
また、当時も結弦のラストは、「戦線成仏させて、自分だけ好きな人と残ろうとか裏切り行為だ」vs「あれこそまさに人間味があっていい」と多くの意見が交わされた。個人的には、それまで結弦の意志でかなでを引っ張って来たのに、最後は、かなでの意志で結弦を引っ張ったことがよかった。かなでの「私にも信じさせて。生きることは素晴らしいって」にはやられたなぁ。
この作品を通して、人生は一度きりしかないと言われるが、実は人生ってのは何度かあって、前回の人生はやりたいことやれないまま終わったんだぜ、だから、今回の人生は楽しもうぜという気持ちになれた。