101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
青い空と海……制作者の掌の上で気持ち良く踊らされていたあの頃……。
あまり昔を美化する感想は書きたくないのですが、
こと『ナディア』に関しては、
私は懐古丸出しの小っ恥ずかしいレビューにならざるを得ませんw
土台となった宮崎駿監督のNHK用のTVシリーズ企画(未実現)が
先に『天空の城ラピュタ』に転用されたことによる、
『ナディア』と『ラピュタ』のシナリオの類似性。
聖書や神話をバックにした本作の世界観。
そこからの総監督・庵野秀明氏の次の監督作品『新世紀エヴァンゲリオン』
に繋がる要素のピックアップによる、
『ナディア』が『エヴァ』の“前身”であるかのような印象の流布。
この二点などにより、世間的には知名度の割に案外、存在感は薄いのでしょうか?
けれど、そんな制作背景など知る由もない放送当時の私は、
毎回、心躍らせて、夢中になって視聴していました。
日テレ系列のロードショーで『ラピュタ』を見て冒険熱に浮かされていた私にとって、
NHKで放送開始された『ナディア』は
またぞろ失われし超古代文明でも、その鍵を握る少女とのボーイミーツガールリターンズでも、
ブルーウォーターが飛行石みたいに再び青い閃光を放っても、
待望の冒険活劇でした♪
これが擦れた大人に成り果てた今の私だと、
『ラピュタ』の焼き直しwなどの煽りに流されて、
純粋な気持ちでは楽しめなかったのだろうなと思いますw
中盤の“島回”の悪名も高いらしい本作。
タイトな制作スケジュールの中、作画カロリーの高い終盤の超展開に作画兵力を集結させるため、
主人公少年ジャンとヒロイン・ナディアらを無人島に遭難させ、
メインシナリオ展開を停滞させ、作画カロリーも大幅カットする。
との大人の事情だと言うことなのですが……。
多少の作画の乱れなど気にならなかった当時の私は、
“島回”すら楽しかった思い出が残っています。
だって、ナディアみたいな可愛い女の子と無人島でサバイバルなんて、
それだけで初心な青少年視聴者はドキドキしちゃうじゃないですかw
確かにメインの冒険は膠着していましたが、
ジャンとナディアの二人の関係の行方は
あの無人島で定まったといっても過言じゃない。
私は“島回”も決して捨て回ではなかったと思っています。
ただ、これも万策尽きちゃう?だの冷めた見方ばかりしてしまう大人の私は、
終盤に山を持って行くための苦しい回が続くな~と斜に見てしまうのだと思いますw
ジャンにも、父親にも、素直になれないナディアは
本作のおよそ15年後確立されるツンデレに分類可能なのでしょうか?
ツンツンを越えて不条理な気難しさすら感じてしまうナディアには、
共感できないとの意見もあり得ますが、
当時の私は訳が分からない部分に女の子の神秘?を感じて時めいていましたw
かと思えば、並のツンデレなら蹴りが飛んで来るであろう、ラッキースケベの典型シーンで、
まさかの恥じらいを見せたりもする。
ツンデレとか安易に当てはめられない。ナディアはナディア。
当時の私にとって、このアニメの世界も女の子も不思議と謎で満ちていましたw
そう言えば、そのラッキースケベシーンも{netabare}“島回”でした。{/netabare}
ナディアだけでなく大人のお姉さんも色気を放っていた本作。
私の場合、終盤、エレクトラさんのピッチリボディスーツ姿が
ヒロイン&スーツフェチの目覚めでしたw
その数年後、レイ&アスカ、ピッチリプラグスーツのWヒロインが活躍する
『エヴァ』に私が引き寄せられたのは必然と言ってよいでしょうw
『ナディア』と『エヴァ』が同じ庵野秀明氏が手がけた作品だとか、
庵野監督と宮崎駿監督の愛憎の関係史とか、
そんな業界の裏事情など知らないまま……。
『ラピュタ』→『ナディア』→『エヴァ』と、
意外と狭い業界内で関連していた制作スタッフたちの
掌の上で気持ち良く転がされていた私……。
私は、大人になっても、こういう純粋な気持ちでアニメを楽しめれば良いと思い、
観たい!と決めたアニメについては、
しばしば関連情報をシャットアウトして没入を試みたりもしますが、
大人の腐った目には、裏事情とか、余計なアレコレが映ってしまうものw
嗚呼、あの青い海や空、ブルーウォーターみたいに、
純粋だったあの頃に戻りたいw