「涼宮ハルヒの消失(アニメ映画)」

総合得点
92.3
感想・評価
5209
棚に入れた
23054
ランキング
23
★★★★★ 4.2 (5209)
物語
4.4
作画
4.3
声優
4.2
音楽
4.0
キャラ
4.3

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ネタバレ

ヴァッハ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

名作を超えた何か

名作を超えた何か。

今回で見るのは何回目になるのか分からないが、何度見ても「すげぇ」という言葉しか出てこない。
2時間超の作品だが、時間を忘れて熱中してしまう。
ハルヒは、ジャンルを区切るのが本当に難しいシリーズです。SF、学園、世界系、日常、人間ドラマ、青春etc...
それらを包含し、生かしているというのが衝撃的です。
消失は、シリーズ内でも特に感情を丁寧に描いた作品でした。

以下、個人的に書きたいから書きます。

感情の発露

・キョン
やれやれ系、または巻き込まれ系主人公と呼ばれる部類のキャラクター。
そんな彼ですが、他と圧倒的に違うものがあります。
それは個性。
没個性で、受け身であれば物語は先に進みやすいが、キョンは葛藤し、巻き込まれながらも周りを巻き込む男です。
みんなの苦悩を受け止める度量がある。
0から1は涼宮ハルヒだが、1から100はキョンが作る。そんなイメージ。
今回は、そんなキョンの本音が多分に漏出する。
敢えて目を背けていた訳でもないが、自然とセーブしていた感情。
受け身であっても、必ず彼女が自分の日常を面白くしてくれるという他人任せ。
本当の感情に、長門から投げ掛けられた二択によって、そして迷わず修正を選んだ事によってキョンは気づいてしまう。
キョンが自分自身に問いを投げかけるシーンはこの映画の最大の見所といってもいいでしょう。
この事件を通し、キョンは巻き込まれ系から、日常を守る主体的な主人公に変化した。


・長門
今作の主人公。
情報統合思念体が「ないもの」と決め付けていた感情が爆発。
世界が改変される。
感情の爆発は大好きなテーマです。
上手く文章化出来ませんが、世界より自身の感情を優先した理性的でない行動。
それでいいのだと感じます。
主人公達と時間を共にする内、感情が芽生える。ベタなテーマですが、それに真摯に向き合い、ここまで逃げずに書いてくれると、とても心の深奥に響きます。
感情を持ち始め、発露してしまった故に処分を検討。
まさに「クソったれ」です。ベジータとキョンはいい事を言う。




何とも言えないラストで、ある種残酷な終わり方でしたが、キョンの合理的で潔い決断には称賛しかない。我儘に泣き喚き、二兎を追い捕まえるドラマティックはそこにはない。だから美しい。愛おしい作品になりました。

投稿 : 2020/02/05
閲覧 : 338
サンキュー:

9

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